第18話

恋人同士
260
2022/04/07 13:14
先輩と付き合うことになったのが先週の話。

お互い幸せに溢れていた1週間。遊ぶ約束をする頻度も格段に多くなった。

よく晴れた日曜日、デートにはもってこいの天気だが、先輩が提案したのは「おうちデート」

嬉しかった。けど、なんせおうちデートなんて初めてで若干の緊張と大きな期待とともに喫茶店へ。(集合場所は何も言わなくてもここになってしまった。)
今日は珍しく私の方が遅めの集合。
あなた

すみません!待たせちゃいました?

シルク
いや、今来たとこ!
朝から笑顔が眩しい。
あなた

おうち、どこでしたっけ?

シルク
こっちー
テクテク歩く先輩の背中を追う。

先輩のおうちは1度だけ行ったことがあるものの、道を覚えているほど記憶力も良くないので、素直に道案内をお願いする。
シルク
ここでーす
あなた

ああ、そうでした!
お店からそんなに遠くないって
話しましたねぇ

シルク
そそ!
シルク
ただいまー
シルク兄
あ、彼女?
こんちゃー
あなた

こんにちは!

シルク兄
ゆっくりしてってねー
シルク
邪魔すんなよ
シルク兄
しねーよさすがにw
あなた

お邪魔しますm(_ _)m

シルク兄
はーい
シルク
俺の部屋こっちだよー
あなた

はーい

あなた

おじゃましまーす...

男子高校生にしては綺麗な部屋で、2人がくつろぐには十分な広さだった。
あなた

何します??

シルク
そういえばなんも
考えてないんだよねえw
あなた

あーー
どうしましょw

すると、なにか思い出したような顔をした先輩。
シルク
あ!あのさ、ちょっと頼みが...
あなた

??

シルク
俺らせっかく付き合ってるからさ
タメ語で来てくんない?
シルク
なんか...ね?
ちょっと距離を感じるというか
なんというか
後半に連れて声が小さくなっていく先輩。
先輩がいいなら喜んで?w
あなた

じゃあ、敬語辞めますね

あなた

...シルク、ありがと(´ ˘ `∗)

シルク
うん...うん。絶対そっちの方がいい。
なんだか恥ずかしそうに頬を赤らめて言う。

そんなことされたらこっちまでなんか恥ずかしくて、「気安く名前なんて呼べないな」と思いながら顔をそむけていると、
シルク
こっち来て
と、手招きされる。

赤ちゃんみたいに四足歩行で近づいて、隣に座った私。すると彼は少し苦しいくらいのハグをする。
しばらくそのままにしていたが、いっこうに離してくれない。強かった腕の力もだんだん抜けて全体重をお互いに預ける。
あなた

ど...どうしたの?
いつもそんなじゃないのに

シルク
こんな時ぐらいしか「俺の」って
証明できないかなって
「証明なんていらないのに」声に出せずに体の中に逆戻りした感情を柔らかい微笑みで、表現したつもりにした。
あなた

ありがとう(´ ˘ `∗)

ふわふわした空気が流れていたその時、
シルク兄
ちょ買い物行ってくるわー
シルク
いってらっしゃーい
急に現実に引き戻されたような気分だった。

彼はやっと私から離れて大きく伸びをしたかと思うと、元気よく「ゲームしよ!」なんて言うから「元気ぃ」なんて思いながらひとしきり楽しんだ。
あなた

彼女にも手加減はしないのね

シルク
スマブラは負けらんねぇから
あなた

もう強すぎて途中からほぼ
勝つ気無かったよw

シルク
ずーっとやってるからね(*´罒`*)
何気ないことを話しているこの時間が
一番の幸せだった。

そろそろ帰るにはいい時間。
少し名残惜しいが帰らねば。
あなた

私、そろそろ帰るね
また遊びに来る!

シルク
駅まで送るよ
あなた

ありがとう(*^^*)

2人で肩を並べて来た道をもどる。

そんなに田舎じゃないはずだが、すれ違う人は
ほとんど居ない。
シルク
やだなー帰って欲しくないなー
名残惜しさ満載でつぶやくシルク。
あなた

また空いてる日は遊ぼ!

シルク
おう!
シルク
じゃあさ、最後にちょっとだけ
そう言って振り向いた彼は私のネックレスに少し触れて、「目瞑って」と囁いた。

言われるがまま目を閉じると、彼は私の唇に優しいキスを落とした。

誰もいない路地裏で、家々の隙間から漏れる夕日を照らされる私たち。この辺りだけ時間の流れが違うんじゃないかと錯覚するようなゆっくりと優しいキスだった。

シルク
恋人の唇は早めに奪っとこうかなって
あなた

何それw

あなた

ありがとう(´ ˘ `∗)

その後はお互い少し火照った顔のまま手を繋いで駅までゆっくり歩いた。
シルク
影だと俺の脚長いのにね
あなた

そうだねw

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