あなたと話し合った結果、あなた自身が「記憶を取り戻したい」って言ったから、俺はそのサポートを全力ですことにした。
カランコロン…
あなたに代わって事情を説明する。
その後は、できるだけ記憶を失った日から近いところに行こうということで、海に行った。
あの日に座ったベンチに誘う。
まだ同じベンチは早いかなと思ったけどあの日のとおりにやってみたかった。
控えめに、間を開けて座ったあなた、なんだか元気がない。
その言葉が聞けただけで、俺は嬉しかった。
そりゃあ、あなたの記憶に残ってないのは悲しいし、出来ればまた、この前と同じよう笑っていたいし、
笑って欲しい。
でも、今はあなたのことを一番に考えたい。
きっと1番辛いのはあなただから。
あなたの記憶探し。
いつ終わるかわかんないけど、探す時間は長い方が
終わった時に嬉しいでしょ?
------------------------------------------------------------------------------------
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。