第26話

真相
234
2022/06/01 16:57
シルク
後者だろ
あなた

なに…言ってんの…

あなた

そんな簡単に…
こんな奴のために死んじゃダメだよ!

シルク
俺だって、好きで言ってるんじゃないさ
…俺の一番はあなた、お前なんだ
許してくれよ?
シルク
それに、初めからそのつもりだったから
ふんわりと微笑むシルクに、勝手に涙があふれる。
檻に入った私は、為す術もなく立ち尽くす。
心に残った唯一の感情は『絶望』だけ。

私がシルクと関わったから…
私がシルクと付き合ってしまったから…
私のせいで…シルクが…
シルク
「私のせいで…」
とか思ってんだろ?
あなた

っ…

シルク
大丈夫だよ
俺そんなに弱くないから
あなた

え…

シルク
さぁ、どうやって2人同時に
撃ち抜くつもりなんだ?
みやかわ
ふふ、実は僕、用意周到な方なんですよ
みやかわ
先輩が後者をとってくれると思って、
これ、用意しておきました
カバンの中から、同じモデルの拳銃が
もう一丁出てきた。
シルク
…っ!?
みやかわ
どっちがいいですか?
みやかわ
先輩に撃たれるなら、
俺はなんでもいいです
シルク
…じゃあ、こっちで
あとから出てきた方を手に取ったシルク。
そして、お互いがお互いの額に銃口を突きつける。
みやかわは少しの笑みを浮かべて、
シルクは真剣な真顔で。
あなた

だめだって!!

いくら檻の鉄格子を揺らしても、
この2人には聞こえていないかのようだった。

まるで、2人だけ時間の流れが違うかのように。
みやかわ
あ、これ、そこの鍵
これが終わったら出ておいで
そう言って鍵をこちらに投げた。
それでも手が届かないところに投げてくるあたり、
本当に狂っている。
みやかわ
それじゃ、先輩、またあの世で
シルク
じゃあな、あなた
あなたを助けて死ねるなら本望だよ
あなた

待って…

あなた

シルクーーー!

2人が拳銃を握る手に力を入れ、
引き金を引いた。

















はずだった。
















カチャ、カチャ
みやかわ
え…なんで…
みやかわ
撃てない…!?
その時、みやかわの後方から何かが放たれた。
正体は野球ボールだ。

それは、みやかわの後頭部に直撃し、
その衝撃で前方に倒れるみやかわ。
その上にシルクがすかさず飛び乗り、
隠し持っていた縄で手と柱を一緒に縛る。
野球ボールが投げられた方向から、
聞き覚えのある声が聞こえた。
ンダホ
あなたちゃーーん!
大丈夫だった?
モトキ
今ここ開けるからね
床に転がっていた鍵で檻の入口を開けてくれる。

向こうでは、これも同じく床に転がった2つの拳銃を
見ながら話している人がいる。
マサイ
こっちは本物じゃん
シルク
そうなんだよ、
さすがに焦ったわぁ…



みやかわ
なに…何が起こってるんですか…
シルク
こんな綺麗に引っかかってくれるとはな
みやかわ
…引っかかっる?
シルク
お前が俺に気があるのは、
だいぶ前から知ってたよ
シルク
嬉しかったぜ?
でも、俺はあなたが好きだったんだ
シルク
だからお前の告白を断った
でも、そっからお前、変わったよな
シルク
俺に近づく回数も明らかに増えたし、
シルク
度が過ぎるっていうか…
そんな気がしてた
シルク
そんな時にあなたが突き落とされたって、
もうそんなのお前しかいないだろ
みやかわ
は、初めからわかってたなら…
なんで言わなかったんですか?
シルク
証拠があったわけじゃなかったからな
誰もその場にいなかったわけだし
みやかわ
でも…!
シルク
でもな、俺見ちゃったんだよ
お前のカバンの中身
みやかわ
え…?
シルク
たぶん、お前がその拳銃を買った
その日だったんだろうな
写真撮ってマサイに見せたら即答で
シルク
「本物だ」って言われたよ
シルク
お前があなたを撃ちかねないと思った
でも、お前に直接「撃つなよ?」なんて
言えないだろ?
シルク
だからお前を泳がせたんだ
いつかあなたを殺しにくるか
俺と死ぬって言い出すと思ってな
あなた

そしたらみやかわくん、
全部自分で白状しちゃってさ

携帯の録音画面を見せるあなた。
ザカオ
これ考えたのあなたとシルクだぜ?
すげえよなぁ…
モトキ
だよなぁ…
みやかわ
え…?
あなた

あれ、気づいた?
私、実はもう記憶戻ってるんだ

あなた

でも、あんたは私の記憶が無くなったから
殺すのを躊躇ためらってるって思って

あなた

記憶が無いフリしてたの
死にたくなかったしね

みやかわ
じゃあ…なんで俺の用意した拳銃が
偽物に変わってたんだよ…
シルク
お前、鞄ひったくられたろ?
みやかわ
あ…
シルク
あん時だよ
俺がマサイとダホとモトキに頼んだんだ
シルク
マサイがお前のやつと同じタイプの
モデルガン見つけてくれてな
シルク
よく見てみろ、
銃口がやけに光ってるだろ
シルク
俺が本物と区別がつくように
そっちにはニスが塗ってある
みやかわ
そ…んな…
シルク
でも、お前が隠し持ってた2つ目は
想定外でしかも本物だったから焦ったよ
シルク
選ばせてくれてありがとな
うなだれるみやかわ
みやかわ
全部お見通しだったんですね…
シルク
まぁ、そうだな
シルク
諦めろ
これで、何もかもが収束した。
長い間気を張ってた生活ともおさらばできる。

安堵の表情が無意識に溢れた。
シルク
これでもう、あなたに
無理させることも無い
あなた

うん、お互いね

シルク
おう、お疲れ様だな
あなた

うん、いつもの喫茶店いこーよ

シルク
いいね!
記憶戻ってたって言いに行かないと
ンダホ
俺らも行くーー!
あなた

うん!みんなで行こう!

シルク
こいつを何とかしてからな
こちらの賑やかな声とは裏腹に、かなり沈み込む
みやかわを指して言う。
ンダホ
そうだね
シルク
もちろん通報はしてある
あとは交番まで行けばOKだよ
あなた

行こ

この後、みやかわを無事に地元の警察署に送り届け、
みんなで喫茶店に行った。
店主
えー!?演技だったのかい!
店主
主演女優賞だね
マサイ
同感です
モトキ
ほんとにすごいよね…
あなた

そんな…(*´ω`*)

たくさん褒められて、悪い気はしなかった。

プリ小説オーディオドラマ