ふんわりと微笑むシルクに、勝手に涙があふれる。
檻に入った私は、為す術もなく立ち尽くす。
心に残った唯一の感情は『絶望』だけ。
私がシルクと関わったから…
私がシルクと付き合ってしまったから…
私のせいで…シルクが…
カバンの中から、同じモデルの拳銃が
もう一丁出てきた。
あとから出てきた方を手に取ったシルク。
そして、お互いがお互いの額に銃口を突きつける。
みやかわは少しの笑みを浮かべて、
シルクは真剣な真顔で。
いくら檻の鉄格子を揺らしても、
この2人には聞こえていないかのようだった。
まるで、2人だけ時間の流れが違うかのように。
そう言って鍵をこちらに投げた。
それでも手が届かないところに投げてくるあたり、
本当に狂っている。
2人が拳銃を握る手に力を入れ、
引き金を引いた。
はずだった。
カチャ、カチャ
その時、みやかわの後方から何かが放たれた。
正体は野球ボールだ。
それは、みやかわの後頭部に直撃し、
その衝撃で前方に倒れるみやかわ。
その上にシルクがすかさず飛び乗り、
隠し持っていた縄で手と柱を一緒に縛る。
野球ボールが投げられた方向から、
聞き覚えのある声が聞こえた。
床に転がっていた鍵で檻の入口を開けてくれる。
向こうでは、これも同じく床に転がった2つの拳銃を
見ながら話している人がいる。
携帯の録音画面を見せるあなた。
うなだれるみやかわ
これで、何もかもが収束した。
長い間気を張ってた生活ともおさらばできる。
安堵の表情が無意識に溢れた。
こちらの賑やかな声とは裏腹に、かなり沈み込む
みやかわを指して言う。
この後、みやかわを無事に地元の警察署に送り届け、
みんなで喫茶店に行った。
たくさん褒められて、悪い気はしなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。