第25話

真実
232
2022/05/24 16:56
あなたside

何…これ…全く動けない…
ついさっきの恐怖がまた蘇る。

何もわからなくて、動けないこの感じ…
あなた

それ…なに…?

もちろん拳銃のことだ。
みやかわ
あ、これ?
別に撃つ気は無いからね?
みやかわ
脅しってやつだよ
あなた

私に…どうして…欲しいの…?

みやかわ
一緒に来て欲しいんだ
それだけでいい
あなた

どこに…?

みやかわ
こっち
そういうと、この辺に住んでいる私も知らなかった
ような、道なのかも怪しい道を案内された。

10分ほどすると廃工場のような建物が見えた。
あなた

どこ…ここ…

みやかわ
いいから来てよ
少しを笑みを浮かべたその顔は、
恐怖を余計に掻き立てる。
案内されたその建物の中には、動物園とかで
見る檻がある。
みやかわ
頭のいいあなたちゃんなら分かるよね?
檻の鍵を開けながらこちらに問いかける。
その間も銃口は下ろされないまま。

何?どうすればいいの?
みやかわ
あなたちゃんには餌になって欲しいんだ
あなた

なんの?

みやかわ
あれ?気づいてない?
まぁそっちの方が都合いいや
みやかわ
とりあえずここ入って
檻を指さす
あなた

やだよ

そんなとこ、入ってたまるか…
動物園の動物じゃないんだから
みやかわ
いつでも撃てるんだよ、こっちは
さっきの眼だ。
体が言うことを聞かなくなる。
仕方なく檻に入って、大人しく鍵を閉められる。
みやかわ
じゃあさ、きぬ先輩に連絡
とってくれない?
あなた

え?

みやかわ
閉じ込められたから来て
って言ってよ
みやかわ
それだけでいいんだ、ほんとに
どういうこと…?
こいつは何をしようとしてるの…
あなた

何がしたいの?

みやかわ
きぬ先輩に用があるんだ
あなた

直接言えばいいでしょ

みやかわ
分かってないなー
直接言っても叶わない願いなの
みやかわ
とりあえず早くしてくれない?
あなた

…わかった

片眉を吊り上げて、微妙に笑うこいつに
逆らえなくて、シルクに電話をかける。
シルク
もしもし、どうしたの?
その声色は落ち着いている。
あなた

さっきのみやかわくんに捕まっちゃったんだけど…シルクに電話してって言うから…

シルク
そんなことかなと思ってたよ…
今みやかわから位置情報送られてきた…
そこだろ?みやかわ
みやかわ
そうです
早く来ないとあなたちゃん、
いなくなっちゃうかもですよ?
シルク
気持ち悪い真似しやがって
シルク
すぐ行くから待ってろ
そう言って、切られた電話。
みやかわ
いいね
「すぐ行くから」なんて言って貰えるの
あなた

なに、
ほんとに何がしたいの?

みやかわ
はぁ、結構しつこいタイプでしょ?
まぁいっか、教えてあげるよ
みやかわ
簡単に言えば、
『きぬ先輩、強奪作戦』かな
みやかわ
俺さ、ずっときぬ先輩の背中見てきて、
なんか知らない間に憧れより、
好きって感じに見えてて…
もちろんLoveの方でね?
みやかわ
それで、
アピールしまくってたら一緒に
ご飯行ってくれたりして
みやかわ
だから、この前告白したんだよね
そしたら振られちゃって…
みやかわ
他に好きな人でもいるのかなって
思ってたら、案の定、あなたちゃんが
先輩と付き合ったって聞いて…
みやかわ
なんで君なんだって思ったんだよね
俺の方がずっと前から好きだったのに
って…
みやかわ
そっから俺、なんか悔しくて
あなたちゃんがいなかったら…
って思うようになってさ
この辺りまで聞いて、嫌な予感がしてきた。
もしかしてこいつ…
みやかわ
ごめんね、あなたちゃんのこと
突き落としたの、俺なんだ
あなた

…っ!?

みやかわ
なんか思い出した?
あなた

いや…何も…

みやかわ
ふーん…
でもあなたちゃんは死ななかった
みやかわ
でも記憶がなくなって、
先輩と付き合ってることを忘れてくれた
みやかわ
それで、先輩の相談相手になったら
もしかしてこっち見てくれるかなって
思ったけど、俺が話しかける前に
先輩はもうあなたちゃんを選んでた
みやかわ
それなら…奪っちゃえばいいんだって
思ったんだよね
あなた

それでも…拳銃なんて…いらないでしょ

みやかわ
いや、心中って知らないの?
あなた

…っ
バカじゃないの

みやかわ
俺をこうさせたのは誰だよ…
今まで見てきた眼の中で、間違いなく、1番鋭い眼だ。
あなた

…そもそも、そんなものどっから手に入れたの

みやかわ
ネットを漁ってたら見つけてさ
どうせ死ぬならなんでもいいやって
あなた

…絶対に撃っちゃダメ
シルクもそんなの望んでない

みやかわ
望んでないから
あの世で結ばれるよ
みやかわ
この世で叶えられない恋を、
あの世で叶えるのが心中でしょ?
このままシルクが来てしまったら、殺されてしまう…
今のこいつに何を言っても、無駄な気がする。
なら、話を逸らしてシルクの機転に任せるしかない。
あなた

でも、よくそんなの持っててバレなかったね

みやかわ
実はさ、来る途中で鞄ごと
ひったくられたんだけど、
奪い返したら、ちゃんと入ってたよ
みやかわ
…こういう運命なのかもね
カンカンカン…
階段を登ってくる音がする。

あぁ、着いてしまったんだ。
結局なにも出来ずに、時間だけが過ぎてしまった。
みやかわ
おっ!来た
シルク
ハァハァ…
俺のあなたに何してくれてんだよ…
みやかわ
俺、先輩のためにいろいろしたのに
結局選んだのはこいつですか
私の方に銃口が向けられる。
シルク
やめろ!
みやかわ
…撃ちませんよ
みやかわ
なんでかって?
みやかわ
今、あなたには選択肢が
二つあるからです
みやかわ
ひとつは、ここであなたちゃんを
見殺しにする
みやかわ
もうひとつは、
シルク
ここで、俺と心中する
だろ?
みやかわ
え…?
シルク
お前が狂ってることぐらいとうの前から
知ってたよ
シルク
どうせ、あなたのこと突き落としたのも
お前なんだろ?
シルク
お前がカフェであなたと会った時、
あなたがあんなに怯えてたのは
突き落とした時のお前の顔が、
頭にこびりついてたんだよ
シルク
記憶を失っても残るくらいに
みやかわ
さすがですね、先輩
みやかわ
じゃあ、どうします?
どっちがいいですか?
見殺しか、心中か
シルク
そりゃあ、もちろん








シルク
後者だろ

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