あなた視点
砂藤の家ー
玄関で靴を脱ぎ、リビングに行く。本当に何の変哲もない家。他の家と違うところをあげるとするなら、常時に甘い匂いが漂っているところだ。
少年、少女作業中…
部屋中にケーキの匂いが広がる。
ケーキを取り分けて、リビングのテーブルを囲んで食べる。
スポンジがふわふわで、口に広がる生クリームの甘味と苺の酸味がなんとも言えない。
あ、そうだ、自分の6歳誕生日以来だ、両親が買ってきてくれた市販のケーキ。
ケーキを食べ終わったら、色々話したり、マリオパーティーしたり…早く帰りたい欲を抑えて過ごした。
時間はたち、解散時間になった。やっと帰れる。
みんなと駅で別れ、私は早足で自分の家に帰った。
あなたの家ー
帰って次第私はトイレに駆け込んだ。
今日食べたモノを全て吐き出した。みんなと作ったケーキも…。
口を濯いでもあのケーキの味が残っている。
大嫌いな奴らと買い物して、料理して、同じモノを食べた…。ストレスのせいか、頭がクラクラする。
あ、まだ日記書いてない…まあいいや。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!