第45話

綺想の日記
324
2021/01/31 07:00
緑谷視点
相澤先生
相澤先生
……あいつをヴィランにしてしまったのは俺達ヒーローだ。……世間だ。
お茶子
お茶子
そんなことが……。
轟
相澤先生、最初から全部知ってたんですか?
相澤先生
相澤先生
……そうだ。…俺だけじゃない、雄英の教師達の殆どが知っている。
飯田
飯田
…なぜ入学許可をしたんですか?…こんなことになったのは……。
相澤先生
相澤先生
…お前達の言い分もわかる。俺達は、あいつをどうにかしたかった。
相澤先生
相澤先生
それは危険だってわかってた。…いけないことだともわかっていた。
相澤先生
相澤先生
俺達は、お前達に掛けたんだ。
相澤先生
相澤先生
お前達となら、あいつを変えられると…そう、思った。
轟
それで、結果はどうだったんですか?
相澤先生
相澤先生
全てこれ・・に書かれてある。
相澤先生は1冊のノートを見せた。
緑谷
緑谷
それは…?
相澤先生
相澤先生
綺想の日記だ。
相澤先生
相澤先生
校長達に頼んで、綺想の家を調べてもらったんだ。
お茶子
お茶子
それで、見つけたのがその日記?
相澤先生
相澤先生
と、もうひとつ。
相澤先生は、1枚の写真を取り出した。
相澤先生
相澤先生
これは、綺想の部屋の写真だ。
緑谷
緑谷
!?
僕は声が出なかった。写真に写ってたのは、真っ白な部屋…ベットと机と椅子、そして窓が1つ…それだけの部屋だ。
……こんなのまるで…。
緑谷
緑谷
独房…じゃないか……。
相澤先生
相澤先生
俺も、校長達も、この部屋を見た時は目を疑ったよ。
相澤先生は、僕に綺想さんの日記を渡してきた。
相澤先生
相澤先生
読んでみろ、全ての答えがある。
緑谷
緑谷
……。
僕はノートのページをめくる。
ノートには僕達をけなす言葉がたくさん綴られていた。
……しかし…。
麗日さんと蛙吹さんと本当に友達になれた気がした。私のことをヴィランだと知っておきながら、あんなに優しくしてくれるなんて…。とても嬉しかった。
今日はみんなと勉強会。黒霧に色々と教えてもらっていたから、ある程度はわかっている。緊張したけど、教えるのは楽しかった。
今日はテストがあった。実戦テストの相手は校長先生。ペアは上鳴と芦戸。私を信じてくれて嬉しかった…協力して掴み取った勝利はなんともいえないほど格別だった。
そして…
これは最後の日記になるだろう。私は沢山彼らを騙してきた。騙されたことを知りながらも、私に寄り添ってくれる人、よりを戻して、また協力できる心強さに頼もしさ…何もかもが初めてだった。
でも、私は彼らを裏切るのが仕事…。私の心は変わってしまった。でも、立場は変わらない。私はヴィランである自分に全てを捧げる。
私は、ヴィランとして、彼らの前に立ちはだかる。…覚悟は決めた。もう2度と戻れない道に誓う。
ここで日記は終わっている。
僕はまたペラペラとページをめくる。
最後のページにきた。
緑谷
緑谷
最後のページには、こう書かれていた。
青山優雅
芦戸三奈
蛙吹梅雨
飯田天哉
麗日お茶子
尾白猿夫
上鳴電気
切島鋭児郎
口田甲司
砂藤力道
障子目蔵
耳郎響香
瀬呂範太
常闇踏陰
轟焦凍
葉隠透
爆豪勝己
緑谷出久
峰田実
八百万百
クラスのみんなの名前、そして、ページの端に…。
My Heroes
緑谷
緑谷
……これって。
相澤先生
相澤先生
あいつの真っ白な部屋には何もなかった…あいつの心にも、何もなかった…。だが、その真っ白な世界に、唯一お前達がいたんだ。
相澤先生
相澤先生
あいつの心には、お前達だけが存在したんだ。
相澤先生
相澤先生
あいつは間違いなく……ヒーローの心を持ったヴィランだ。

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