僕はユウ。
僕は今、青い火を吹く変な狸から逃げている。
一体、何処まで来たのか。辺り一面には、木、木、木。少し薄暗くて不気味な森に迷ってしまった。
一度立ち止まって息を整える。ずっと走っていたから少し苦しい。
僕の目線の先には2階建ての大きな家。いや、お城があった。
薄暗い森のど真ん中にたたずむそのお城みたいな建物は光に反射してなのか、キラキラ輝いて見えた。
とにかくあの狸から逃れたい。
そう思う一心で、黒いお城に向かって歩き出した。
ーーーーー
お城に着いたのは数十分後だった。結構距離があったな...。
それにしても此処は何なんだろう。
色とりどりの花々や、庭のど真ん中には立派な噴水。薔薇のアーチなどもある。人は住んでるようだ。
?『ねぇ、』
後ろから聞こえた人らしき声。少し声が高いから女の子かな、?
声が聞こえた方に体を向けると、
?『君、迷子なの?』
肩まである栗色の髪に、ピンクがかかった桜みたいな色の瞳の少女がいた。
?『此処は寮生以外、立ち入り禁止だよ』
少女は不思議そうに首を傾げると、
?『別に迷惑じゃないよ。ただ、ここに人が来るのは珍しいなぁって。そうだ、貴方の名前は?』
ナギちゃんという女の子は僕の方を向き、手を差し出してきた
僕はその子の手をとり、歩き出した。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。