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第1話

7年間の片想い
24
2018/11/24 10:18
「___紗良」

低くて甘い声。彼の吐息。

「……可愛い」

彼の体温。彼の熱。

「好きだよ」

甘い言葉。彼の笑顔。


そんな上辺だけのものに振り回されていたのは、私だけ。

分かったつもりでいた。
分かっていなかった。

私は所詮、彼にとって都合のいい玩具でしか
なかったことを。


私の父は暴力をする人だった。
幼い頃に両親は離婚していて、私は父に引き取られた。

しかし、度重なる虐待によって、私は母のもとに行かざるを得なくなってしまった。

父が手をあげだしたのは私が中学に入った頃。
当時は頼れる人もおらず、日に日に孤独と虚無感だけが重なっていった。

学校でも交友関係がうまくいかず、部活にも顔を出さない日が増えていった。

そんな私の唯一の楽しみは、地域で週2回行われている卓球に参加することだった。
私は卓球部だったのだが、部活のメンバーもいない、知り合いばかりの安心出来る空間だった。

そこで大地と再会した。
大地は3歳上で、幼馴染みのようなものだった。といっても小学校が同じだったのだが3年間しかかぶっていなかったので、中学に上がるまでの3年間一度も会わなかった。

久しぶりに再会した大地はすっかり大人びて、高校生らしくなっていた。






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