「…申し訳ございません,もう……シウさんは…」
そこまで聞いた時,私は目眩で立っていられなかった。
「っ……う"………」
「あなたさんっ……」
「シウ……シウ………」
シウと呼ぶ事しかできなくて…何もできないまま終わってしまって…。
この現実を,飲み込めないでいた。
涙も何も出なくて,ただもう一度…シウの笑った顔が見たかった。
「違う…死んでないっ……シウは…」
「あなたさん………」
「死んでませんよね!?まだ目覚めますよね!?」
「っ…………」
その時の私は,狂っていた。信じたくない,その一心で医者を問い詰めた。
でも,返ってきたのは"あなたさん…"それだけ。
きっと,何も言えなかったんだろう。
何分か経った後,医者が私の前に封筒を1つ渡してきた。
「これを,シウさんがあなたへ渡してほしいと…」
「……え…っ?」
やめてよ…そんなのっ……そんなの…
「もしかしたらシウさんは……」
やめて……言わないでっ…
「シウさんは…………」
"望んでいたのかも…しれません"
頭を,強く打たれたようだった
大好きな恋人が,いなくてはならない人が
命を掛けても守りたい人が
誰よりも信じていた人が
"自殺"をしただなんて…
「ぁ………っ…う……っヒュッ……カッ……はぁっ…」
「あなたさんっ!!」
「あ"っ……はぁっ…っはぁっ,ヒュッ……」
「あなたさん!落ち着いて,息を吐いて!」
心の縄が少しづつ……解かれて
感情というものが少しずつ崩されて
気づくと,生きるという方法を
忘れかけていた
バタッ!、
「あなたさんっ!?あなたさん!!」
シウ………会いたいよっ……
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。