幸せは……そんなに長く続かない
誰かが…そんな事言ってたなぁ…
でも,それが私に起こる事だなんて
誰が知っていただろうか…
_____数ヶ月前
「シウ!」
「ん?」
「大好き!」
「うん,俺もㅎ」
そういう彼の笑顔はどこか可愛くて,かっこよくて。彼に対する気持ちが,日に日に大きくなってしまう。もう彼がいなかったら,私は日常生活がきっと不可能になる。
「ねぇ…あなた」
「なに?」
「ずっと,俺のそばに居てね」
「っ…うん!」
何があっても,彼のそばにいる。どんな事があっても彼の味方。絶対に…何があっても,彼のそばを離れたりしない。
「シウ…」
「うん」
「シウも,ずっと私のそばに居てね。」
彼は返事の代わりに,私を見て優しく微笑んだ。どこか悲しそうに,寂しそうに。
でも当時の私はそんな事気づくこともできなくて,ただ彼が笑ってくれているのが嬉しかった。こんな幸せが永遠に続けばな……って。
そんな事ばかり考えていた。
でも神様……
私は…欲張りだったの…?
「シウ…っ……なんでよっ」
「やだっ…!やだ!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「あなたっ!落ち着くんだ」
「無理っ!!やだっ…シウ……シウっ…」
「あなた………」
神様はいじわるだ。
1番幸せの時に,1番の不幸を与える。
それも,取り返せない不幸を……。
花火の綺麗な夜だった
「シウ!!危ないっ!!」
彼の寂しい笑顔と共に,クラクション音が鳴り響いた
目の前で見てしまった,残酷な光景…
耳を塞きたくなるほどの鈍い音
数々の人の叫び声
数分後に聞こえた,救急車のサイレンの音
私は目の前の光景に
涙も出ず,ただただ……彼が運ばれるのを見ていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。