あなた side
「……ん?なんかあった?あなたからかけてくるなんてめずらしいやん。」
『……っ、会いたいっ、』
「………っ、」
『…っ、ごめん、忘れて、なんもないから』
「…なんもないわけないやろ、すぐ行くから待っとけ」
『っ、大丈夫やから、』
「大人しく家におって、じゃあ、(プチッ」
というのはほんの5分前の話。
今、絶賛後悔中。
あ、電話の相手は彼氏の藤原丈一郎。
なんか無性に声が聞きたくなって、電話かけてた
ただでさえ迷惑やのに、1番言ったらあかん言葉を
ゆってしまった。ほんま最低。
彼が忙しいのもわかってて、理解だってしてるのに
……いつからこんな弱くなったんやろ。ほんま…
ピーンポーン
……ほんまに来たんや。悪いなぁ。
『……ありがとう、ごめんね。』
「なにがあってん。」
『ちょっと寂しくなっただけ!大丈夫!』
「…はぁ、ほんまに、もう。。。」
『………、?』
「……………(ギューッ」
『…へ、丈、??』
「…ごめんな、寂しい思いさせて。」
『……っ、大丈夫やから、丈はなんも悪くないからっ!』
「………」
『ね、なら頑張れって言ってや!それで頑張れるから!ね、??』
「…………お前はもう頑張ってるから大丈夫。」
『…っ、えっ、?』
「……そんなに頑張りすぎんでええよ。」
『……っ、なんでっ、そんなんっ、』
「お前が頑張ってんの1番見てきてるんやから、お疲れ様。」
『…っ、ありが、とうっ、』
私のことを1番理解してくれてる彼だから。
だから大丈夫だね、これからも頑張っていける。
そう実感した今日この頃。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。