朝一の教室・・・そこには、にやにやと
二人を冷やかす理緒の姿があった。
昼休み・・・
冴夜は、恥ずかしそうに
でも少し嬉しそうに静と付き合うことに
なった話を教えてくれた。
意識しなくても、ついつい
考えてしまう・・・
あたしにも、彼氏とか
できるのかなって・・・
その時だった。
カツカツと足音が聞こえ、すぐに
静が入ってきたとわかった。
そう言った三道君の横を通り過ぎ、ガシッと
冴夜の腕を掴んだ静か静。
爽やかに微笑み、パチリと
ウィンクを決めた静は「行くぞ」と
言って、そのまま昼ごはんを食べに
冴夜を誘拐してしまった。
理緒と三道君は、クルリと向き合い
同時に声を発した。
その時理緒は、思った。
三道君は、恋愛にはうとい
鈍感野郎なんだと・・・
理緒は、自分の席に座ると
ポンポンと隣の席に座るように
三道君に合図する。
理緒は「?」と不思議そうに
首を傾げ、黙々と巾着からお弁当箱を
広げている。
三道君は、軽くため息を
こぼしながら理緒に言われた通り
隣の椅子に腰掛けた。
「よいしょ」と離れようとした
三道君のYシャツを、思わず掴んでしまった理緒。
今まで理緒を、意識していなかった
三道君はドクドクとうるさい心臓を、
ギュッと手で押さえた。
「だめ?」なんて、簡単に言わないでほしい・・・
そんなこと言われたら・・・
自分がすんなり理緒に従ってしまったのは、
理緒さんが変に可愛いこと言うからだと
自分を説得した三道君なのでした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。