上司に触れられた場所、口付けられた場所、こんな事になる前の綺麗な身体に戻るように強く擦った。
全て忘れたい。無かったことにしたい。
そんな思いから肌が赤くなった。
置いてあった着替えを身にまとってすぐに市川くんの元へ戻った。
早く安心したい。
市川くんの部屋に戻ると綺麗に布団を敷かれていた。
人一人分の距離をあけて隣に腰を下ろした。
ドライヤーを受け取っても乾かしに行かない清春に疑問を抱いた。
物心つく頃から大きい音が苦手だった。
破裂音や大きな物が落ちた音、大声も慣れなかった。
中でもドライヤーのように、ゴーっと大きな音を鳴らし続ける物が嫌だった。
不安を煽られてるような気になって怖かった。
ドライヤーのコードをまとめた。
清春の嫌がることをしたくないようで顔をしかめた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。