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コンセントを刺して清春の背後に回った。
確かに、自分でやるのと他の人にやられるので少し変わるかもしれない。
ドライヤーのスイッチを付けて髪に風を当てた。
無機質なドライヤーの音が鼓膜を刺激する。
ギュッと目を強く閉じてこの時間が過ぎるのを待った。
ドライヤーの大きな音が頭の中に響く。
まるで今世界に自分しかいないようだ。
たった数秒が数分にも数時間にも感じる。
しばらくすると不快な音が鳴り止んだ。
自分の不安を表すように指先が震えている。
清春の手を両手で包み込んだ。
使ったタオルとドライヤーを慣れた手つきで片付けた。
市川くんの真っ直ぐな優しさを信じたい。
初めて与えられた選択権。
自分なんかにそんなものないと思っていた。
選んでいいんや。
そう、理解した瞬間に目尻から一滴の水が頬を伝った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。