前の話
一覧へ
次の話

第1話

໒꒱‪‪𓂃 𓈒𓏸◌‬ ℙ𝕣𝕠𝕝𝕠𝕘𝕦𝕖 ໒꒱‪‪𓂃 𓈒𓏸◌‬
107
2026/03/24 10:38 更新

歓声って、不思議だ。

あんなにも大きくて、

あんなにも温かくて、

人を簡単に“特別”にしてしまう。





ステージの上に立てば、

ライトが当たって、

名前を呼ばれて、

拍手が降り注ぐ

まるで、全部が肯定されてるみたいで





__でも

その裏側を、私は知ってしまった。
📣P
📣P
 … ッ 

初めて見たのは、あの日のライブのあとだった。

誰もいない舞台袖で、

まだ残る熱と、消えかけのライト





その中で、

ひとり、背中を丸めていた人
あなた
ぷりっつ、くん … ?

呼んだ瞬間、

びくっと肩を震わせて、

慌てて顔を隠す。
📣P
📣P
 … 来んなや

その時聞いた声はいつもの明るい声じゃなく、

かすれて、弱くて、

今にも崩れそうな声だった。





それでも私は、立ち止まれなかった。

だって、その人は__

さっきまで、

誰よりも笑って、

誰よりも輝いていたから。
📣P
📣P
 … 見られたく、なかってんけどな

小さく、そう呟く

ぽたり、と床に落ちる音

それが涙だと気づくのに、時間はかからなかった。





拍手に包まれていた人が、

そのすぐ裏側で、

こんなふうに泣いているなんて、





知らなかった。

知ろうともしなかった。
あなた
 … なんで

無意識に、声が漏れる。

すると彼は、

少しだけ笑って、

でもその笑顔は、ひどく歪んでいた。
📣P
📣P
 … なんでやと思う ?

そう問い返されて、言葉を失う

答えなんて、わからない




ただ、

この人の中にある“何か”が、

拍手じゃ埋まらないってことだけは、伝わってきた。
📣P
📣P
なぁ … あなたの下の名前

ふいに、名前を呼ばれる
📣P
📣P
 … 誰にも言わんといて

振り向かないまま、ぽつりと語りかけてくる
📣P
📣P
こんなん、かっこ悪いやろ ?

その言葉に、胸がぎゅっと締めつけられる。




__かっこ悪いなんて、思わない。





むしろ、

こんな姿を見てしまったからこそ、

もう、目を逸らせない。
あなた
 … 言わないよ

小さく答えると、

少しだけ、安心したように息を吐いた。





でもその背中は、まだ震えていた。





私はまだ、

何も知らない。

この人が、どれだけ自分を追い込んでいるのかも。

どれだけ“完璧”を演じているのかも。





そして__

この涙の理由が、

ひとつじゃないことも。





ただひとつ、確かなのは、

拍手の裏側で、君は泣いていた。

そして私は、

その涙を知ってしまった。





__それが、すべての始まりだった。

プリ小説オーディオドラマ