「え、えぇと、その……」
『まあいい、とりあえず来て』
「えっ」
タプは半ば強引に私の手を引っ張った。
ついたところは大きな一軒家の前。
本当にこの中に…?
ガチャと重いドアを開けた彼。
『入って』
「あ、お、お邪魔します…」
恐る恐る入るとドアからものすごい勢いで男の人が出てきた。
真ん中分けで糸目の可愛い顔をした人。
……テソンさん…?
『たっぴょんおかえり!その子今日からここに住む子だよね~?』
『そう』
『えっと、名前聞いてもいい…?』
「あなたです…」
『おっけ、あなたちゃんね!よろしく!』
ニコニコしながら頭を撫でてきた。
やっぱりこういうものか。
普通だよね。うん。
「よ、よろしくお願いします」
『そんな堅苦しくならなくても笑 あなたちゃんのことはみんな知ってるから!大丈夫だよ!』
「あ、はい!」
疑問ばかりが生まれるが聞くことすら忘れていた。ただただBIGBANGに会えたことが嬉しくて。
『今もうみんな寝ちゃってさ、ジヨンだけまだ起きてるからさ、挨拶だけ』
「わ、分かりました。」
ちょっと震え気味の私の肩をポンポンと軽く叩いた。
『あなた、テソンといってきな、俺もう寝るから』
とだけ言ったタプの顔は少し寂しげだった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。