第7話

管理人ト暗殺者.2
56
2019/02/27 07:18
ハド
速攻! 確実! さすがだね、無臭透明な神経毒ガスは
ガスマスクを被るハドは、浮かれた足取りで部屋の窓を開けてガスを外へと逃がす。
ハドはおもむろにマスクを外すと、床に倒れる白雪姫へと近づく。
ハド
いいね! いいね! やっぱり白雪ちゃんは勿体無い素材だね
白雪姫の髪や頬を触れていき、ハドは無邪気に笑う。
ハド
朽ちて! 腐る前に、僕のコレクションにしてあげるからね
嬉々として白雪姫を抱き上げようとしたとき。
アル
アル
させると思いますか?
扉を開け放ったアルは、ハドを睨みつけながら部屋に入っていく。
ゆらりと静かに立ち上がるハドは、近づいてくるアルに視線を向けて首をかしげる。
ハド
あれ? おかしいな? ちゃんと毒を盛ったはずなのに?
アル
アル
私があの程度の毒に気づかないと思いますか?
ハド
ちぇ~。ヒスリーの自信作だって聞いてたのに~
アル
アル
……言いましたよね? 白雪さんには手を出すなと
ハド
聞いたけど? でもでも! 
仕事なんだよね?
 僕はそのついでにコレクションを増やそうとしただけだよ?
 僕って仕事熱♪
アル
アル
……俺に歯向かうなら殺す
ハド
や、やだな~歯向かうなんて~。怖いから殺気抑えてよ。口調も昔に戻ってるし
ハドはわざとらしく自分の肩を抱いて怯えてみせる。
だが、眉一つ動かさずに殺気を強めていくアルに、ハドは背筋が冷たくなるのを感じた。
ハド
降参! 諦め! 僕じゃどう足掻いてもアルアルには勝てないからね
子供の鬼ごっこのように駆け出すハドは、部屋の扉の前でピタッと立ち止まる
ハド
でもさ! でもさ! 今のアルアルのやり方は皆が皆、納得しているわけじゃ~ないんだよ?
ハドはそう告げると部屋を出ていく。だけど、すぐにぴょんと頭だけをだして。
ハド
もしかして! 白雪ちゃんに惚れちゃったの?
アル
アル
どうやら死にたいよう――
ハド
怖っ! 殺される前に退散!
素早く扉を閉めたハドは、逃げる兎のように駆けていった。
アルは一度、深く息を吐き出すと白雪姫へと近づく。
抱き上げてお姫様抱っこするアルは、白雪姫に視線を向ける。
幼さが残るけど白く美しい寝顔。小さく寝息を立てている。
アルはしばらく白雪姫を見つめ続けていた。
その表情は、どこか切なくて悲壮の色がうかがえた。

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