ジョングクside
あれから女性スタッフから企画の説明を受けた。
聞いているうちに前にやった事のある企画をまたやるらしい
それも、ゲームセンターでただ遊ぶだけ
今の状況でなければ楽しい空間だったであろうこの場所はただ騒音が鳴り響く狭い部屋と思ってしまう。
色々なゲームがある中でひとつのゲーム機に目が止まった。
クレーンゲーム
中に入っているのは可愛らしいうさぎのぬいぐるみ
別に俺はうさぎが特別好きって訳でもないし、
ましてやクレンゲームが得意なわけじゃない。
でも、なんで今こんなものが目に入ったのか、
初めてここに収録のために来た時の事だった。
まだ、俺らもあなたを肉体的にも精神的にも虐めていない頃だった。
休憩中にあなたは1人でこの場所に立って中のぬいぐるみをとても欲しそうな目で見ていたのをとても鮮明に覚えている。
何故だろ?
お世辞にも素敵な衣装じゃなかったし、メイクだってステージの時のような派手なものではなかった。
でも、多分……
それまで見てたのは、何だかとても困ったような心の底から見せていたものではなかったような気がする。
でも、クレンゲームの景品を見ていた時は、
まだ幼さがあって、ちゃんと年相応の表情だった。
初めて、
本当のあなたを見れた気がした。
そう言って持ち場に着く。
今は、ただ頑張るしかない
少しでも、あなたが僕らに笑いかけてくれるように
なかったことには出来ないけれど、
せめて、あの時のあなたの笑顔をまた見られるように………
to be continued…。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!