第5話

808
2020/09/25 22:31





あれから少しだけ病院の中を歩いてみた。






私のいた場所が相当慌ただしかったのか、別の科の場所に来てみれば静かに診察を待っている人達やゆったりと仕事をしている人達がいた。







私が死んだ事実など、ほんの一部の人達にしか影響を及ぼさないのだと思った。









『速報です。BTSのメンバーであるカン・あなたさんがお亡くなりになったという情報が入りました。』





大きな待合室にあるテレビから流れるニュースキャスターがそんなことを言っていた。
(なまえ)
あなた
カン・あなた??






さっき知った私と同姓同名の人の名前がした。




そちらを見るとそこには写真があった。
(なまえ)
あなた
私…





名前も同じ





写真に写っているのも私



BTS







なんだか聞き覚えのある響きだった。


『あなたさんの死因は車での移動中に反対車線から来た車が衝突してしまったために起きた事故だと言います。』


『幸い相手の運転手は軽傷で済んだとのことですが、あなたさんの事務所は交通法違反であるとし告訴するとの意向を示しています。』


『また新しい情報が入り次第報告させていただきます。』




交通事故??
あの人たちが言っていたのは自殺…
事故ではなかったはずだ。
(なまえ)
あなた
嘘をテレビ局に伝えたってこと?






あの場であの人たちが嘘をつくのはおかしい




なら、事務所の人がテレビ局に嘘の情報を教えているということになる。



それはなぜ?




魂だけのこの体になってからずっと疑問だけがある


そして、自分で死を選んだというのに私はなぜ成仏していないのだろう



なにか思い残すことでもあったのだろうか…





そんなことを考えていると自分の方に走ってくる男の人がいた。



その人にも私が見えないらしくそのまま突きぬけていく
焦ったような顔をして必死に走っているその男の人は私が歩いて来た道の方に行った。
(なまえ)
あなた
なんだか見たことがある顔??


無性に気になってその男の人の後を追った。













to be continued…。

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