春乃side
あなたは、どこにもいなくて。
しばらく探してたの。
あなたは、驚いてて。
どれくらい会ってなかったんだろう?
それくらい懐かしくなったんだ。
察したあなたが
ふたりになれる場所に連れてってくれたんだ。
流れるのは、沈黙と少し生暖かい風
あなたがそっと口を開いて出てきた言葉に、
ゆっくり頷いたんだ
乾いた声で笑った、あなた
そんな事
そんなこと考えてなんかないっ!!
違う、違う、違う
あなたは、あの約束覚えてるかな?
背負ってたリュックを下ろして、取り出したの。
取り出した紙袋をあなたに渡したら、
驚いた顔を見せたんだ。
あなたの言葉、ちゃんと覚えてたんだよ?
まだ、腑に落ちないあなたに。
伝えなきゃいけないこと。
わたしね、あなたが…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!