翔side
相葉くんが病室に来てから、3日が経った。
話してよかったのかなぁ…
なんてちょっと後悔してる。
俺が何もないって言えば良かったって
思ってもいるんだ。
勢いよくカーテンが開くと、よく見る顔
笑いながら当たり前のように横に座る。
にのは、高校の後輩。
まあ、はると同級生で、はるのことを教えてくれたのもこいつ
あ、ゼリー
食べたくて仕方なかった。
相葉くんに頼んだ、はるへの伝言。
あれは、嘘。
もうここには、はるは来ちゃいけないって思ったから
にのは、俺の前に一つゼリーを置いて自分の前にも置いた。
ほんとだったら、はるが持ってきてくれてたかもしれないな
急にそんなことを言い出した
はるの、こと?
にのには、なぜか話してて。
はると別れたときの理由も本当は、こいつにだけ話してた。
にのには、なんでも話せた。だけど、
この前の相葉くんのことは、話せてない。
別れたって相葉くんと?
離れるなって言ったのに
って、遠慮がちに聞いてきた
俺が全部話したから?
相葉くんは、許せなかった?
にのは、ため息をついたんだ
奪うって
ニノの声は少しイラついてて
そんな事言われて正直びっくりした
普段なら笑って、「先輩には無理」とか言うのに。
ぁあ、にの言う通りだ…
俺は、少し期待してたんだ。
戻ってきてくれるんじゃないかって
こうやって後輩のくせに言ってくるところがある。
でも、それが俺には合ってて。
もう、そこからはにのの話を聞いてるだけで
嫌い、なはずがない
なんて小難しい表現を使ってくる。
確かに、はるに話したとき、
“ずっと好きだった”
過去形だった。
その想いは、変わらずに今も未来も続いていくのに。
こんなふうになんでも言ってくれて、なんでも笑ってくれて。
また笑う。応援なんてしてんのかどうかすらも分かんないような顔。
ただ、逃げてただけなんだ。
カコも、イマも、ミライも、
自分から遠ざけてた。
本当は、ふたりで歩きたいのに、
隠して、ずっと、ひとりで歩いてたんだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。