あなた side ______
運動会企画が終わって家に帰ると直ぐにお風呂に入って兄さんと2人でそのままベッドへダイブした
久しぶりに体を動かしたから想像以上に疲れていた
次の日になって僕はいつも通りの時間に目が覚めた
でもいつもと少し違うことがある
あなた『身体が重い…』
起き上がろうとしたが身体が鉛のように重くて起き上がれないことに加えて頭がふわふわとする
でもこんなことで会社の方や兄さんに迷惑をかける訳にはいかない
やっとの思いで起き上がりリビングへ向かう
歩くだけで息が上がる
リビングへ着くといつもはまだ起きていないはずの兄さんがキッチンにいた
あなた『兄…さん?』
な「あなた!起きてきたの?寝てなきゃ!」
あなた『え?どういッ』
な「あなたすごい熱なんだよ!?」
あなた『僕は大丈夫だよ ハァハァ』
な「はいはい 戻るよ〜」
兄さんに背中を押されて自分の部屋に向かった
な「自分の体温が信じられないなら測ってみ?」
あなた『うん』
脇に体温計を挟んで音が鳴って取ってみると
あなた『えっ…38.9℃…』
な「わかった?休んどくんだよ?」
兄さんに促されて布団に潜る
段々と悪寒がしてきた
前に熱出したのっていつだっけ?
長い間熱を出ていない気がする
そのせいもあってかとってもしんどい
な「あなた?お粥食べれる?」
兄さんがお粥を持って部屋に入ってきた
あなた『兄さん会社は?』
な「今日くらい大丈夫 今は心配しなくていいよ ニコ」
な「それで食べれる?」
あなた『少しだけなら』
兄さんからお皿を受け取って少しずつ口へ運ぶ
美味しいけどあまり胃が受け付けてくれない
な「無理して食べなくていいからね」
あなた『うん これくらいにしとく ありがとう ニコ』
な「友達に連絡だけしとくね」
兄さんの言っている "友達" とは兄さんの高校の先輩で幼い頃僕もよくお世話になっていた人だ
このお友達さんのお父さんもお母さんも医療関係で働いているらしく必然的に医者の道を選んだらしい
僕の家は家族ぐるみで仲が良かったので小さい頃に熱を出した時はよく診てもらっていた
僕はあまり熱を出すことは無かったが軽い喘息持ちだったので僕の今までのカルテはそこの病院にある
最近は収まっていて喘息も出していない
兄さんはお友達に連絡を入れて部屋に戻ってきた
な「熱が上がりそうだったらおいでって言ってるけど」
あなた『やだ 行かない』
な「だよね 寒いとかはある?」
あなた『ちょっと寒い』
な「それまだ上がるやつじゃん」
あなた『でも行かない』
この会話を見ていただいた通りに僕は病院が嫌いです
病院独特の匂いとか機械とかが苦手
今の歳になっても嫌なものは嫌だ
な「ん〜 また熱が上がったら行くからね?」
あなた『やだ』
な「だめ 連れていく」
兄さんに僕を連れて行けるのかな
だって僕とあんまり身長変わらないのに
なんて呑気なことを考えながら再び眠りについた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。