第21話

”心に決めた。”
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2022/02/11 08:21
店内の時計を見ると午後5時を指していた。
あれから約2時間は居たのか。時間が過ぎるのは限りなく早い。そう思った。
_宮原@みやはら__明日香@あすか_
宮原みやはら明日香あすか
もう出る?
_羽瀬@はせ__凌斗@りょうと_
羽瀬はせ凌斗りょうと
そうだな
_羽瀬@はせ__冬馬@とうま_
羽瀬はせ冬馬とうま
うん
ささっと会計を済ませて外へ出る。
凌斗と冬馬の奢りだった。割り勘を提案したが「いいよ、2人で払うから」と揃いも揃って言われて言葉に甘えた。
季節も冬だからか、日が落ちかけていて空も暗くなっていた。
_羽瀬@はせ__冬馬@とうま_
羽瀬はせ冬馬とうま
最後に着いてきてほしいところがあるんだけど、いいかな?
_羽瀬@はせ__凌斗@りょうと_
羽瀬はせ凌斗りょうと
見せたいものがある
_宮原@みやはら__明日香@あすか_
宮原みやはら明日香あすか
いいよ
返答した途端、2人に手を掴まれる。
突然のことに驚きと恥ずかしさが同時に出る。

手汗をかいた。どうしよう。
凌斗と冬馬に手汗が移っていないといいけど...。
_羽瀬@はせ__凌斗@りょうと_
羽瀬はせ凌斗りょうと
ちゃんと着いてこいよ?
_宮原@みやはら__明日香@あすか_
宮原みやはら明日香あすか
分かってる
_羽瀬@はせ__冬馬@とうま_
羽瀬はせ冬馬とうま
それじゃあ、行くよ
_宮原@みやはら__明日香@あすか_
宮原みやはら明日香あすか
わっ!
完全には状況を理解できてない私を無視して手を引いて走り出した。
***
冬馬の目的地と思われる場所に着く。
_宮原@みやはら__明日香@あすか_
宮原みやはら明日香あすか
わぁ...
思わず声が漏れる。
私が見た光景は今の季節にぴったりのイルミネーション。美しいライトアップで輝かせている。

綺麗ね。なんてロマンチックなの...。

しばらくの間、目の前のイルミネーションに見とれていた。
_羽瀬@はせ__冬馬@とうま_
羽瀬はせ冬馬とうま
どう?
_宮原@みやはら__明日香@あすか_
宮原みやはら明日香あすか
凄く感動した。素敵な場所に来ることができて嬉しい。
_羽瀬@はせ__冬馬@とうま_
羽瀬はせ冬馬とうま
それは良かった
暗かったものの、イルミネーションの光が彼を照らしたことで微笑しているのが分かった。
_羽瀬@はせ__凌斗@りょうと_
羽瀬はせ凌斗りょうと
...冬馬のくせに
吐き捨てるように呟く。

この言葉から恐らくこの場所は冬馬が選んだのだろう。とてもセンスがいい。
数秒だけ沈黙が続いた。
それから真剣な顔つきに変わる。
1歩、また1歩と私に近づいた。距離が縮まる度にドキドキ、ドキドキ、と胸の高鳴りが激しくなる。
_羽瀬@はせ__凌斗@りょうと_
羽瀬はせ凌斗りょうと
───明日香
_羽瀬@はせ__冬馬@とうま_
羽瀬はせ冬馬とうま
───明日香ちゃん
名前を呼ばれる。
ドキドキしたあまり、喉が詰まって声が出ない。
ずっと黙り込む私を見つめながら話を続ける。
_羽瀬@はせ__冬馬@とうま_
羽瀬はせ冬馬とうま
改めて言うね。───好きだよ
_羽瀬@はせ__凌斗@りょうと_
羽瀬はせ凌斗りょうと
改めて言う。───好きだ
彼らの声が重なり合う。
双子だからか言葉も同じ。息もぴったりだった。
何だろう。この気持ち。
その言葉を言われると嬉しくて...。でも何故か心がもやもやする。

この気持ちの正体は───。
_羽瀬@はせ__冬馬@とうま_
羽瀬はせ冬馬とうま
振り向いてくれたかは分からない。
けれど、僕は本気で好きだよ。
付き合ってほしい。絶対に幸せにすると誓う。
先に冬馬が口を開く。
私から目を逸らそうとしない。とても真剣な目。
本当に私のことが好きなのだと分かる。
_羽瀬@はせ__凌斗@りょうと_
羽瀬はせ凌斗りょうと
明日香のことが好きだという気持ちは誰にも負けない。それくらい好きだ。
付き合ってくれ。絶対に幸せにしてみせる。俺が生涯かけてお前を守る。
じっと見つめる。その目からひたむきな眼差しを感じ取れた。
冬馬と同様、私への好意が誠実だと思った。
_宮原@みやはら__明日香@あすか_
宮原みやはら明日香あすか
............
...あぁ、そうか。ようやく分かった。
私が好きなのは───。
今までの中で感じた”ドキッ”と”ドキドキ”。
そして”もやもや”。

これよりも前に恋をしていた。
自然と恋へ落ちていた。自分でも気づかぬうちに。
これで全てが解決。何もかもがすっきりした。
さぁ、伝えよう。私の、この想いを。
_宮原@みやはら__明日香@あすか_
宮原みやはら明日香あすか
私は────

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