あれから数日後。
カーテン越しから漏れる日光が私を照らす。
今は何時だろう。
ゆっくりと身体を起こして近くに置いてある目覚まし時計を見る。
9時30分。
あぁ、そうか。休日だから学校はないんだ。
今日はゆっくりしよう。
その時だった。私のスマホからピロン、とメールの音が鳴る。
液晶画面には送信者の名前「冬馬」ともう1人、「凌斗」と表示されていた。そういえば最近、2人と連絡先を交換したんだっけ。
まずは冬馬の方から。
少しのやり取りを終えて、次に凌斗の方を開く。
画面を閉じる。
確か今日の13時、近くの公園を指定か。
それにしても2人とも急だったな。内心焦った。
私に何か用でもあるのだろうか。
気になりながらも冬馬と会えることを楽しみしていた私は早めに支度を始めた。
***
時間も経過し、今は12時45分。
残り15分。家から公園までは10分程度で着く。5分早いがそろそろ家を出ようか。
玄関まで行き、この前買ったばかりのお気に入りのブーツを足に通す。
もう冬だしブーツを履いてもおかしくはないよね。
ドアノブに触れて前に押す。
開けて外に出る。「行ってきます」と言って閉める。ガチャ、と音を立てて鍵を閉めた。
***
寒い...。マフラーも必要なくらい冷えている。
こうやってくしゃみが出るほど。
でもただ寒いだけ。決して風邪は引いていない。
もう少し厚着してこれば良かった。今更後悔しても遅いが...。
寒さに負けないと前を向いて公園まで歩き続けた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。