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第3話

アウェイの裏側
―ジョングクside―


今日は高校の入学式。
黄色い制服に身を包んで部屋を出ると、
ヒョン達から歓声が上がった。
ホソク
ホソク
ジョングガ!似合ってる!
ホビヒョンが笑顔で肩を組む。
あっという間に写真を撮られ、撮影大会。

賑やかな宿舎、楽しそうなヒョン達。
その一方で少し憂鬱な気分の自分がいた。
ジョングク
ジョングク
はぁ……
ナムジュン
ナムジュン
ジョングガ、人見知りだもんね…
ナムジュニヒョンは心配そうにそう言う。
そう、人見知り。
俺の欠点であり今日1番の不安要素だ。
いつもはフォローしてくれるヒョン達がいない。
ジョングク
ジョングク
行ってきます…


校門をくぐると、既に結構な人がいた。
受付を終わらせて花を受け取る。
その間にも周囲の視線と歓声が着いて回る。
ジョングク
ジョングク
はぁ……
隠しきれない溜息。
もうさっさと会場に行ってしまおう。
そう思って会場外の集合場所に行くと、
黄色い人間が大量発生して溢れかえっていた。
俺は背が高くて良かったと思う。
すぐに会場奥の科別案内プレートを見つけた。
早く行こうと歩き出すと、ふと感じる違和感。

一箇所だけ人が遠巻きにしている場所がある。
ジョングク
ジョングク
なに、あれ…?
ちょっと気になるから見ていこう。
足を向けると、その場所に居たのは一人の生徒。

入学早々に虐めでもやってんの?
嫌な気分になりながら生徒に近付くと、
他の生徒が近寄れない理由が直ぐに分かった。
ジョングク
ジョングク
うわ、美形…
なんていうか、オーラが凄い。

艶のある黒髪はウェーブが掛かっていて。
少し垂れている切れ長の目と泣きボクロ。
怠そうな表情が何故か色っぽい男子生徒だった。
アクセサリーは付けていないのに不良みたい。
制服を少し着崩しているからかな。

その生徒は、キョロキョロと辺りを見る。
誰かと待ち合わせだろうか。
もしかしたら具合が悪いのかもしれない。
ジョングク
ジョングク
あの、大丈夫…?
(なまえ)
あなた
全然大丈夫じゃないです…
思わず声を掛けると、返事が返ってきた。
ぼんやりとした視線が引き絞られて俺を見る。
あぁ…これは近寄り難いよな。
テヒョニヒョン達に慣れてなかったら…
俺も話しかけなかったかもしれない。
でも、彼の声は凄く澄んだ声だった。
近寄り難い雰囲気とは裏腹に、弱々しい印象。

助けてあげなきゃって思った。
(なまえ)
あなた
実用音楽科…どこですかね…
いや、迷子かよ。
思わずツッコミそうになるのを抑えた。

でも、寂しそうな顔と覇気のない声に
段々可哀想になってきた俺。

俺と同じだと言って連れていく事にした。
その間も感じる視線、視線。
この子も同じ状況に居たんだな…やっぱり可哀想。
(なまえ)
あなた
俺?俺は黒瀬あなた。
彼の名前は黒瀬あなた。
響き的に日本人だろう。
韓国語が上手過ぎて全然分からなかった。

あなたは俺の事を知らないみたいで平然とした顔。
自己紹介をしたのに掘り下げられることもなく、
あなたの視線はあっさりと俺から外れた。
「新入生の入場です。」

アナウンスが響く。
チョン君なんて初めて呼ばれた。
あなたにもう一度声を掛けようと顔を覗き込むと、
緊張しているのか眉間の皺が凄いヤバい。
ジョングク
ジョングク
あなた、眉間の皺。
肩を叩いてそう言うと、シュッと皺が消えた。
キョトンとした顔で俺を見上げるあなた。

…なんかコイツ、可愛いかもしれない。
列がゆっくり進み始めて、会場へ入る。
案の定というか…悲鳴が凄いうるさい。
馴れ馴れしく「ジョングク!」なんて呼ぶ人も。
チョン君っていうあなたを見習って欲しい。
(なまえ)
あなた
チョン君、眉間の皺。
さっき俺が言った仕返しだろうか。
あなたは少し口角を上げて俺に指摘してきた。
それにしても「チョン君」はむず痒い。
ジョングク
ジョングク
…ジョングクでいい。

悩んだ末に告げた一言。
あなたはまたキョトンとした顔で俺を見上げる。
何か言いたそうな顔をしてるけど言わないあなた。
そのまま椅子に座ると、式が始まった。
ジョングク
ジョングク
…あなた?
思わず小さな声で呼ぶ。
式が始まって少しした時、肩に重みを感じた。
ゆっくりと顔を向けると、俺の肩に頭を預けて
ウトウトしているあなたが見える。

は…?何だろうこの可愛い生き物。
俺がそのまま動かずに見ていると、あなたはすぅっと気持ち良さそうに眠ってしまった。
ジョングク
ジョングク
警戒心なさ過ぎ…
初めましてなのに。
こんなに気持ち良さそうに寝られると、
心を許されたと思ってしまって正直嬉しい。

これは、初の友達が出来たかもしれない。
俺は始終緩みそうになる顔を抑えながら耐えた。
(なまえ)
あなた
完全に寝てた。
退場のアナウンスと同時にあなたを起こした。
ハッとした顔で俺を見るから笑える。

席を立つとまだ眠たいのか少しフラフラ歩く
あなたの手を引けば、素直に着いてきた。

あなたといると周りの視線が気にならない。
危なっかしいあなたにばかり目がいって、
外に意識を向けている暇がないからかな。
(なまえ)
あなた
チョン君、俺歩けるよ。
またチョン君って呼んでるし。
グゥでもいいけど?と言うと考えるあなた。
(なまえ)
あなた
ありがと、グゥ。
まさかのグゥ呼びに少し萌えた。

既にヘトヘトなあなたを連れてクラスに入る。
座席表を見れば、なんと隣だった。
椅子に座ったあなたは遠い目をして言う。
(なまえ)
あなた
グゥ、人気者だね。
ジョングク
ジョングク
あなたも大概だろ。
ここまで周りの視線を集めておいて、
自分が注目されてないなんて思ってないよね?
俺の予想はあながち外れではなかった。

あなたのぶっ飛んだ考えには気付かなかったけど。
(なまえ)
あなた
俺は違う。
ワカメみたいな天然パーマが
黄色い服を着て歩いてるから
注目されてんの。
表現力が飛び抜けてるわ、コイツ。
ワカメみたいな天パ、黄色い服……。
飛び抜けた表現力の天才がネガティブに
振り切ったらこうなるんだな。

ヒョン達がパーマしたらワカメって言ってみよう、
絶対に怒られると思うけど。
机に頬杖を突いて目線だけ俺に投げるあなたは、
アンニュイな雰囲気で色気だだ漏れ状態。
そのくせ中身は結構面白い、これがギャップか。
(なまえ)
あなた
はぁ…完全にアウェイ…
あなたが呟いた言葉に笑いが止まらない。
アウェイって…実際に使ってる人初めて見た。

確かに俺達は完全にアウェイだけど。
コイツがいるなら高校生活も面白くなりそう、
なんて考えながら俺はあなたの頬をつついた。