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第48話

シャボン玉飛んだ
―ホソクside―


少し前から、あなたの様子が変だった。
あなたって名前を呼んでも反応が無いことが多くて。
でも「チャユ」って呼ぶと必ず気付くんだ。

他にも、鏡を見て顔を顰めてたり。
観察するように俺達をじっと見つめてたり。
ホソク
ホソク
絶対に変だよ……。
ジミン
ジミン
別人に見える時がありますよね。
そう、それだ。
あなたじゃない別の人に見える事がある。
ホラーな話じゃなくて、雰囲気的にね。

ナムジュン
ナムジュン
あなた、遅くない?
ナムジュンの声で皆が時計を見る。
練習が終わったのは夕方6時。
今時計の針が示しているのは夜の9時。

……確かに、いくらなんでも遅過ぎるよね。
ホソク
ホソク
迎えに行ってくるね。
ジョングク
ジョングク
ヒョン、俺も行きます。
ソクジン
ソクジン
えー、じゃあ全員で行こ!
頑張りすぎ!って皆で怒らなきゃね。
あなたが最近、テレビとか携帯を見ては
顔を顰めているのを知ってる。

あなたの国籍や存在自体を否定するアンチ。
そんなのに足を取られちゃダメだよ。
ユンギヒョンもあなたにそれを伝えたくて、
ここ最近は作業室に篭って新曲を作ってるんだ。
ジミン
ジミン
よし、行きましょう!
ユンギ
ユンギ
疲れてるだろうから車で行くか。
テヒョン
テヒョン
お腹空いてるよね、お菓子持っていこ!
皆で準備して、事務所へ向かった。



ソクジン
ソクジン
あなた以外は帰ってるね。
事務所は真っ暗。
あなたのいる練習室だけ、明かりが付いていた。
うわぁ、これは一人で帰るの勇気いるよね。
迎えに来てあげて良かったかも。

ガヤガヤと話しながら練習室に向かう僕達。
テヒョンアがお菓子を持ってドアを開け放つ。

バサッ
テヒョンアの手から離れたお菓子が床に落ちた。
後ろで待っている僕達は笑いながらお菓子を拾う。
ジミン
ジミン
もー、何ドジってんのテヒョナ!
テヒョン
テヒョン
あなた……?あなたッ!!!
血相を変えて駆け出すテヒョンア。
覗き込んだ僕達は、一瞬だけ状況が理解出来なかった。
少し遅れてジョングガも駆け出す。


床に倒れたあなた。
手に握られている血塗れのタオル。
ソクジン
ソクジン
ユンギ!!救急車!!!
ユンギ
ユンギ
分かった!!
ナムジュンはPDニムに連絡しろ!!
ホソク、マンネラインを頼む!!
ジニヒョンとユンギヒョンの喝に我に返る。
僕はマンネラインに駆け寄ってあなたから引き剥がす。
ホソク
ホソク
揺さぶっちゃダメ!
ゆっくり寝かせて、出血は何処から!?
ジョングク
ジョングク
く、くち……
ホソク
ホソク
横向きに寝かせて。
口の中に血は残ってない?
ジミン
ジミン
大丈夫、です。
テヒョン
テヒョン
ヒョン、ヒョン……!
ホソク
ホソク
大丈夫、大丈夫だよ。
意識を失ってるだけだからね。
ユンギヒョンが呼んだ救急車が到着するまで。
僕はマンネラインを抱き締めて宥めていた。

ジニヒョンは様子を見ながらあなたの名前を呼ぶ。
ダメだ、全然起きない。
思わず僕は叫んでいた。
ホソク
ホソク
チャユ!!起きろ!!!
僕の声でうっすらあなたの目が開く。
やっぱり、チャユだと反応した。

その反応で何かを悟ったらしいユンギヒョン。
舌打ちをしながらあなたの横に屈み込んだ。
ユンギ
ユンギ
おい、お前はあなただろうが。
ユンギ
ユンギ
勝手にあなたを殺すなよ、チャユ。
一瞬、何を言ってるのか分からなかった。
でも真剣な顔のユンギヒョンをみて思う。

きっと、ユンギヒョンにしか分からない事がある。
この中で誰よりも繊細な心を持っているヒョン。
何か感じるものがあるんだろうって。
ナムジュン
ナムジュン
救急車来たよ。
ジニヒョン、乗ってくれる?
ソクジン
ソクジン
分かった。
皆は車で病院まで来てね。
焦って事故を起こさないように!!
救急車に乗り込むジニヒョンを見送る。
僕達は放心状態のマンネラインを車に押し込んだ。
沈黙が車の中に重く広がる。

それを破ったのはジョングガだった。
ジョングク
ジョングク
俺が、声を掛けてたら……
テヒョン
テヒョン
違うよ、ジョングガ。
ジョングク
ジョングク
でも1番近くに居たのに!!
取り乱すジョングガを抑えるジミナ。
テヒョンアは目をギラつかせたまま呟く。
テヒョン
テヒョン
悪いのはジョングガじゃない。
無理をしたあなたでもない。
追い詰めたマスメディアやアンチだよ。
顔が見えないからって何を言っても良い訳じゃない。
僕達は人間であって商品じゃないんだから。
そう呟くテヒョンアの声は低く唸るようだった。
テヒョン
テヒョン
あなた、日本の歌を歌ってたの。
シャボン玉の歌だった。

俺、それを聞いた時に怖くて。
もう本当に周りを恨んだよ。
シャボン玉 とんだ。
屋根まで とんだ。
屋根まで とんで、壊れて きえた。
かぜ かぜ 吹くな。
シャボン玉 とばそう。
ホソク
ホソク
儚い歌だよね。
テヒョン
テヒョン
あなたがシャボン玉みたいにさ、
消えちゃったらどうしようって。
絶対にそんな事はさせないよ。
僕はマンネラインを抱き寄せて誓う。

ユンギヒョンとナムジュンは黙っていた。
ただ、静かに。
何かを考えているように。