私は家を出て走った。
先月、隣町に引っ越して、学校と家が遠くなって、私は電車通学になっちゃった。
時間に縛られるのって本当に最低。
もっと自分のペースで生きていたいんだけどな…
カンカンカンカン…
踏切が降りる。
やばい!!間に合わない!!
降りている棒をくぐって、踏切の向こう側へ行く。
悪いことだって分かっているけど、間に合わないっ!!
なんとか、ギリギリセーフで電車の中に入った。
都会の電車はかなりの満員。
降りる駅まで20分以上ある。
ずっと立っているのは正直辛い。
我慢我慢。
私は足のあたりに嫌な感触を感じた。
誰かに触られてる?
こんなに人がいたら偶然当たっちゃうこともあるよね...
まさか痴漢じゃないよね?
でも感触はだんだん上に向かって行って、1番触られたくないところにまで行った。
気持ち悪い…
抵抗することもできず、ずっと我慢していた。
感触はすごく気持ち悪く、今すぐ叫びたいぐらいだった。
でも叫ぶ力は残っていなかった。
私の目の前にスマホの画面がきた。
「助けて欲しい?」
そう書いてあった。
私は縦に首を振った。
私の体から嫌な手が離れた。
痴漢をしていた男はなにも言わない。
助けてくれた男は痴漢をしていた男の右の頬を拳で殴った。
次の駅は〇〇~〇〇~
お出口は右側です
助けてくれ男は痴漢男の腕をぎっしりつかみ、〇〇駅で降りた。
私もそれについて行った。
交番についてから事情を聞かれ、しっかりと話した後、痴漢男は逮捕された。
もうあの男の顔も見たくない。
そう心から思いながら助けてくれた男と一緒に交番を出た。
中島さんの顔を初めて見た。
すっごくイケメンだった。
芸能人で言う、ジョングク似
中島さんは颯爽と高校へ走っていった。
足が速い。
すっごく爽やかで少女漫画に出てきそうな感じ
また会えたらいいな。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。