~あなた~
それからの私は、完全に引きこもりになった。
仕事にも行かないで、ニート状態。
チエさんからの連絡も、亜嵐くん以外のメンバーの人達からのメールも全部、
ごめんなさいってだけ返して終わり。
心配してくれてる両親が、ちょっとお金送ってくれて、
食欲もないし、お金あんまり使わないようにして、それで生活してる。
・・・クズなの、クズ。
どっからどうみたって、最低な人間。
何一つやる気が出なくて、そんな自分に嫌気がさして、
心配してくれてる友達に八つ当たりして、
余計に自分が嫌いになる。
もうね、疲れたの。
GENEが大好きで、亜嵐くんが大好きでたまらない。
だけど、突き放したのは私。
これからも変わらない事実に苦しめられながら生きるの。
生きる、か、
そういえば、もうすぐであのカフェでの撮影が終わるの。
長かったなぁ。
いや、短かったかも、?
なんて、こうやって気を紛らわせても、亜嵐くんは消えてくれない。
一生、
テレビの録画画面にはGENEが出てる番組がいっぱい。
だけど、見る勇気はない。
その繰り返しだよ。
・・・ほんと、何してるんだろうね、私。
たくさんの人に迷惑かけて、
わかっててもやめられない。
こんな人間、世の中にいなくていいと思うんだ。
亜嵐くんには他にもたくさんのファンがいて、
活躍できる場面もたくさんあるでしょ?
だから、これからも大丈夫。
こんな姿見たら、みんなバカだって笑うかな。
絶対叶わない恋をして、
その人に付き合ってる人がいたくらいでこんなになる。
・・・でもね、、それくらい好きなんだよ。
亜嵐くんが大好きで、
亜嵐くんの笑顔が私の幸せで、
亜嵐くんのおかげで頑張れるの。
・・・会えてよかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!