第47話

終わり
557
2020/08/03 08:30
~亜嵐~

見覚えのあるこのマンション。



来るのは2度目だけど、緊張は前回と比べものにならない。




ちゃんと、、説明するんだ。

もう逃げない。




震える手で201って押して、
開けてくれるように祈る。






・・・どんなに経っても応答はない。




その時、スーツ姿の男性が中から出てきた。


・・・行くしかない。



開いたドアを、さっと通り抜けた。



絶対、話すから。







この時の俺は、あなたちゃんが家にいない可能性を考えもせずにいた。





















~あなた~
冷たくて、強い風が吹く屋上。



うちのマンション、10階建てだから、結構高くて、

ここから落ちたらどうなるかなー、なんて、バカなこと考えてる。




・・・別に死ぬ気はないよ。

風に当たりに来てるだけ。




死にたい、って思っちゃう時もあるけど、
そんなことできる勇気、私にはない。




孤独を感じさせる、私を責めるような風。


・・・私、これからどうしたらいいんだろう。



いつも考えることだけど、答えは出なくて、
なんならさらに落ち込んで終わりなの。







亜嵐くん、元気かな。

私になんて、会いたくもないかな。



込み上げてくる涙に、思わず笑ってしまう。

・・・私がこうしたんだよ、もう遅いの。



バカだなぁ、ほんとに。






泣いているのに、笑ってる、へんな感情で
屋上の柵の周りをゆっくり歩いた。








バンッ!



ものすごい音がして振り返る。










あなた

・・・あら、んくん、、






目の前にいるのは、間違いなく亜嵐くん。



びっくりして、心臓止まりそうで、ちょっと過呼吸になる。





亜嵐
亜嵐
・・・あなたちゃん、、っ


そう呟いてダッシュで私の所に走ってくる。


あなた

・・・なんで、、っ




この声が消える前に、私は亜嵐くんの腕の中に収まった。



亜嵐
亜嵐
ごめん、あなたちゃん、ごめん、、



状況が理解できない。



私の肩に顔を埋めて ごめんね、と繰り返す亜嵐くんは、
とても辛そうな顔をしていた。








亜嵐
亜嵐
・・・ちゃんと話すから、、聞いて欲しい。












何かを決意したようなこの人を、


やっぱり私は嫌いになるなんてできない。

プリ小説オーディオドラマ