~亜嵐~
「涼太から聞いたんだけどさ、」
「違うよ、それ。」
「ダンス教えて貰ってるSAKIさんって人と勘違いしたんだと思う。」
「ごめんね。」
あなた、の字がうつるトーク画面で、
自分が送ったメッセージを見て息をついた。
勘違いってめんどくさいよな、
でも、俺のことで仕事まで放棄するなんて、(笑)
もっと気をつけなきゃな。
早く会いたい。
会って、直接話したい。
・・・この時の俺は、次ここに来る時、必ず会えると思っていた。
それから3日。
あの日ぶりの撮影日。
わくわくしてお店に入ったものの、
まさかの休み。
おい、嘘だろ、、
原因が俺ってわかってる分、罪悪感が押し寄せる。
・・・え、でもちゃんと説明したのに、、
なんなんだよ、こいつら、、
・・・このまま何もしない訳にもいかない、
もう会えない、なんて、絶対無理だから。
おかしいよ、おかしい。
なんで来てくれないの?
疑問ばっかりだ。
俺に会いたくないの?
なんて、これは頭おかしいわ(笑)
撮影終わり、チエさんに教えてもらったマンションに向かう。
そんなに大きくないけど、あなたちゃんが住んでそうな所。
チエさんも連れてきた方が良かったかも。
201 って、ゆっくりインターホンのボタンを押す。
カメラ機能、ついてないのか、
名前言わなきゃじゃん(笑)
この後、普通にあなたちゃんと仲良くなるつもりだった俺は、
あなたちゃんの本当の気持ちを知らなかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。