~あなた~
泣いてる私を見て、お茶でもどう?って、声かけてくれた涼太くん。
亜嵐くんのあの姿を思い出して泣きそうになる度に、大丈夫って、背中をさすってくれた。
私はただ、早足で涼太の後ろをついて行くことしかできない。
それから、おしゃれなカフェについて、個室に通された。
涼太くんの優しさに、また泣きそうになる。
こんな会話、亜嵐くんともしたな。
私が怒って白濱さん、って言ったら、それは勘弁、なんて。
・・・亜嵐くん、彼女いますか?、なんて聞けるわけないじゃん。
でも、忙しい中わざわざ付き合ってくれてるんだよね。
聞いてみようかな。
きっと、いないって答えるから。
だって私、ファンだもん。
いるって言うはずがない。
わかりきったことを、メンバーに聞いて、
ちょっとでも安心しようだなんて、
ほんと、最低過ぎるよね、私。
そりゃあ、答えずらいよね。
ありがとうございましたって、急いでお店を出た。
どうしようもない後悔と絶望の中、
ファンってなんだろう。
ずっと考えてた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!