会いたい
直感的にそう思った
今なら君が世界の反対側にいたとしても、どれだけの時間と金がかかろうと会いに行けると思った。
幸いなことに距離はそう遠くはない
電車に揺られ外の景色を眺める
会いに行っていい?
そんなことは聞いてない
もしかしたら迷惑だと思われるかも
いつもならそんなことを恐れて絶対連絡は欠かさないのに
今は心が羽より軽い
あなた
もうすぐ会えるよ
樹くんとは屋上の時以来会っていない
もう結構な時間が経っている
樹だってお仕事とか、いろいろあるはずだから私から会いたいなんて言えない
でも、そろそろ限界かも…ね
ピーンポーン
こんな遅くに誰だろう
インターホンで確認する気力もなくふらふらと立ち上がって玄関に向かった
はーい、とかろうじて出た声はか細いという他なかった
ガチャ
ガチャ
バンッ
玄関に入って早々壁ドンをされた
どんどん距離は縮まっていく
耳元で樹くんの低い声でささやかれるとなんだか体がゾクゾクする
私の両手首を樹くんは、いとも簡単に片手で壁に押さえつけた
体も樹くんの足でがっちりホールドされていてびくともしない
会った途端つい抑えきれなくなって大胆な行動に出てしまった
だってずっと会いたかったし
あなたが可愛すぎるから
いろんなことが急にありすぎて樹くんが力を緩めた途端崩れそうになった
やばい自分で言っといて恥ずかしい///
まぁあなたとハグできると思えばこれほど幸せなことってない
今日はあなたと過ごしたい気分
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。