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『Cafe Path』を出た私と誉さんは、連れ立って『哲学の道』を歩いていた。阿形君はネズミの姿のまま、私の肩の上に乗っている。
誉さんに尋ねると、
と短い答えが返ってきた。
私は隣を歩く誉さんの顔を見上げ、気になっていたことを聞いてみた。
誉さんはちらりと私を見ると、歯切れ悪く答えた。
霊感体質とか、そういうことなのだろうか。
今度は自分のことを聞いてみると、
さっきと同じような答えが返ってきて、私は口をへの字に曲げた。
素性を言い当てられて、驚いた。
誉さんは、分かって当然と言わんばかりの顔をした。
彼女たち皆が不思議なものを目にしているとは思えない。
誉さんの説明に、私はますますびっくりしてしまった。
誉さんの言う意味がよく分からなくて、首を傾げたら、
誉さんは顎に手を置き、考え込むように続けた。
まるで「卵が先か、鶏が先か」のような話になってきて、頭が混乱してくる。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。