兒浦が手を真っ直ぐ上にあげると再度部屋が真っ白な空間で包まれた
そのまま手を振り下ろすと、天井から柱が伸び、まっすぐ、地面に倒れた優春に向かって伸びた
完全に手を振り下ろすと、ドンッと鈍い音が鳴った
その時、ふわっと微風が兒浦と理緒の肌を触れた
相変わらず勝己くんは煽り口調だ
でも、今はそれも全く気にならない
私も、怒ってるから
実はと言うと、兒浦が優春ちゃんに柱をぶつけて仕留めようとした時、僅かな時間で私が優春ちゃんを救出していた
優春ちゃんは私を助けてくれた
だから、私も何度だって優春ちゃんを助ける
そう約束したもの
あなたさんがそう言ったと同時に、私は兒浦との間合いをいっきに詰めた
私が技を放とうとすると、兒浦は直ぐに血気術防御を取った
優春ちゃんから指示をもらうと、私は風をできる限り強く吹かせて兒浦の身動きを封じ、体勢を崩した
すると、兒浦が展開していた空間の防御が解けた
私の刀は既に兒浦の頸に入っていた
力いっぱい、滑らすように刃を入れ込み、スッと
音もなく刃を通しきった
兒浦は灰のように成り果て、消えていった
理緒さんはとても綺麗な人
綺麗な着物を着て、華麗に舞う
うっかり、その姿に見とれてしまいそうな程、
綺麗な人
理緒さんは笑った
その笑顔はとても柔らかくて、素敵だった
だけど、私にはその笑顔は、安心から綻びたものにも見えた
これにて、私たちの戦いは終わった
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!