第21話

💐 21
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2022/03/01 10:00
治 side
あなたの脳に腫瘍があって、余命2年と告げられてから俺はそのことばっか考えとった。
やっぱりちゃんと治療した方がええんやないかとか、ツムに言った方がええんやないかとか。
俺一人で抱えるには、重すぎるんや。
せやから俺は、絶対誰にも言わんで欲しいって条件で北さんに相談することにした。
北 信介
北 信介
なんや、治から話なんて珍しいな
宮 治
宮 治
すんません⋯いきなり⋯
北 信介
北 信介
ええよ、どないしたん?
宮 治
宮 治
この話、俺と北さんだけの秘密にして欲しいんです
北 信介
北 信介
おん、分かった
それから俺は、北さんに全てを話した。
あなたの病気のこと、治療はせず今のままの生活を続けたいということなど。
北さんは黙って聞いていたが、その目には涙が浮かんでいた。
北 信介
北 信介
なんで⋯あなたなん⋯
宮 治
宮 治
俺も、信じられんくて⋯
1人では抱えきれんと思って相談しました⋯
北 信介
北 信介
治、俺に話してくれてありがとう
辛かったやろ
宮 治
宮 治
もう俺⋯グスッ⋯辛くて⋯
北 信介
北 信介
おん、俺も今めっちゃ辛い
宮 治
宮 治
俺は、治療して欲しいんです⋯
けどあなたは嫌だって⋯
北 信介
北 信介
もう、手が尽くせないわけやないんよな?
宮 治
宮 治
はい、まだ手術すれば助かるって⋯
今のままやと2年半で⋯
北 信介
北 信介
治、俺と一緒に説得しよう
あなたには長く生きて欲しいんや⋯
宮 治
宮 治
せやけど、言うなって言われとって⋯
北 信介
北 信介
俺が無理やり聞いたことにしたらええよ
そう言って、北さんは頭を撫でてくれた。
はぁ、やっぱ北さんに話してよかったわ。

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