_____それは、ある夏の暑い日のことだった。
『母様ー!』
私こと胡桃沢小町は、大財閥である胡桃沢家の長女として産まれた。
『どうしたの?小町』
母様は体が弱く、いつも寝込んでいた。当時6歳だった私は、母様の看病に明け暮れていた。学校に通わなくても勉強は出来ていたし、危なくなれば教育係がいる。私は安心して母様の看病に集中する事が出来た。
『これ見てぇー!』
当時の私は、花集めにハマっていて綺麗な花を摘んできては母様にプレゼントしていた。
『まぁ、綺麗なお花ね』
そう言って笑う、母様はとても美しくてずっと私の憧れだった。自分もこうなりたいとずっとずっと思っていた。ずっと、この幸せが続くと思っていた
_____あの日までは
黒龍side
「あぁ……何処にいるの…」
アジトの中で黒龍のボスである「染谷リツ」がボスルームで頭を抱えて唸っていた。
「あの娘が好みそうな所は全て探したというのに…」
彼女がヨコハマに来た目的…それは、少女を探すためだった。勿論、このヨコハマが気に入ったから奪おうとしているというのもある。
「このヨコハマを手に入れれば戻って来てくれるかしら…」
「_____私の愛する小町…」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。