第3話

黒龍来航-1日目 ②
920
2018/06/18 10:52
ポートマフィアside


探偵社が会議をしていた頃と同時刻、ポートマフィアも五大幹部と首領が集まっていた。
いつもは自由に過ごしている面々が、今回はピリピリとした空気を放っていた。

「みんなに集まって貰ったのは他でもない。」

重い沈黙を破り、首領「森鴎外」が口を開いた。
五大幹部は空気を張り詰めて鴎外を見た。

「昨日、ヨコハマに来た黒龍を排除する為だ。」

鴎外は皆を一瞥し…

「いいかい?ヨコハマを害虫から守るんだ。」
「仰せのままに」


-それから数時間した夕暮れ時に五大幹部の1人「中原中也」がヨコハマの街を歩いていた。黒龍の被害が無いかを見る為だった。その時、何処からか澄んだ美しい歌声が聞こえてきた。

「なんだ…?誰か居んのか?」

中也は歌声のする方へ恐る恐る向かった。視界が開けた瞬間…強い風が一瞬吹いた。反射的に中也は顔を隠した。風が止み、顔を上げるとそこには歌声の主がいた。
天使の様に真っ白な美しい髪をたなびかせ、美しい歌声で歌っていた。後ろ姿から分かる程、彼女は美しかった。

「…手前…誰だ」

彼女に見入りながらも中也は声をかけた。少女は歌うのを辞めゆっくりと振り向いた。

「!(なんだ…此奴)」

彼女は…この世のものとは思えない程の美しさを放っていた。だが、彼女の瞳の奥には闇の様な色が潜んでいた。中也ならば気づけたであろう。だが、そんな事など気にならない程に彼女は美しかった。天使とは女神とは…彼女の事を云うのではないだろうか……

「……あなたは…誰ですか…」

高すぎない澄んだ声は中也の耳には届かなかった。強く吹いた風が彼女の声と姿を隠したからだ…。

「なっ…彼奴は…どこだ?!」

風が止むと其処には中也しか居なかった。

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