第4話

#4
181
2021/10/01 22:24
彼方
彼方
ほら、ここだよ
you
you
……あなたって、一人暮らし?
彼方
彼方
そうだけど?
you
you
そう……
私が彼方に連れてこられたのは、明らかに学生が住めるはずない、高そうなマンションだった。
この人の親、金持ちか何か?
絶対に普通の学生が住めるような場所じゃない。
彼方
彼方
ほら、入ろ
you
you
……(頷く)
……うん、こいつん家、中も広くない?
絶対に普通の学生じゃないでしょ。
バイトしてたとしても、絶対に住めない。
you
you
……中も広くない?
彼方
彼方
そうか?
you
you
バイトしてるの?
彼方
彼方
たまにだけど
you
you
それにしては広すぎない?
彼方
彼方
まあ、バイトと別にやってる事あるし
彼方
彼方
そっちの方が主な収入源だな
you
you
何やってるの?
彼方
彼方
気になる?
you
you
まあ、そりゃ……
彼方
彼方
じゃ、見せてあげる
彼方
彼方
こっち来て
you
you
あ、うん
そう言って、部屋の一番奥に連れてこられた。
鍵がかけてあって、少し恐怖心がわく。
you
you
……ねえ、この部屋なんなの?
彼方
彼方
見れば分かるって
彼方
彼方
ガチャッ(鍵とドアを開ける)
you
you
……これ、何かの機械?
彼方
彼方
うん
彼方
彼方
俺、歌い手やってるんだ
you
you
歌い手……
you
you
確か、ボカロとかの曲を歌ってネットに投稿する人だったっけ?
you
you
私はよく分からないけど
彼方
彼方
そんな感じ
彼方
彼方
あなたもやってみる?
you
you
え、私が……!?
you
you
音痴だし、絶対無理!
彼方
彼方
あなた、歌上手そうなんだけどな……
彼方
彼方
じゃあさ、試しに何か歌ってみてよ
you
you
え、でも……
彼方
彼方
はーい、決まり~
彼方
彼方
何歌える?
you
you
え……
you
you
……メリュー、とか
彼方
彼方
じゃ、音楽かけるから歌ってみて
you
you
……歌う以外の選択肢は?
彼方
彼方
もちろん無い
you
you
……分かったよ
~~~(曲がかかる)
you
you
夕日が落ちる様に
胸が染まるので
耳鳴りのような
鼓動を隠して
バスに乗った僕は言う
君は灰になって征く
たとえば
こんな言葉さえ失う言葉が僕に言えたら
灯籠の咲く星の海に心臓を投げたのだ
もう声も出ない
それは僕じゃどうしようもなかったのだ
悲しくもないし
苦しくもないのに
辛いと思うだけ
辛いと思うだけ
古びたバス停の端
傘を持った僕がいる
今でさえ
埃を被った夜空の隅に足はつくのに
心臓が痛いから死んだふりの毎日を見なよ
もういっそ死のうと思えたなら
僕はこうじゃなかったのだ
どうせ死ぬくせに辛いなんて
おかしいじゃないか
どうせ死ぬくせに辛いなんてあぁ、あぁ
だから愛さえないこんな世界の色に
僕の唄を混ぜて
もうどうかしたいと思うくせに
僕はどうもしないままで
あぁあぁ
you
you
どう、かな?
彼方
彼方
……
you
you
……彼方?
彼方
彼方
……っ!
彼方
彼方
うん、凄く良いと思う
彼方
彼方
これなら、すぐ人気になるんじゃない?
you
you
いや、それはないでしょ
彼方
彼方
まあ、やってみたら?
彼方
彼方
機材とかなら、俺のやつ使えばいいし
you
you
……出来るかな?
彼方
彼方
出来ると思うよ
you
you
……じゃあ、やってみる
彼方
彼方
その意義だよ
彼方
彼方
……あ、名前どうする?
you
you
名前?
彼方
彼方
うん、歌い手としての活動名のこと
彼方
彼方
ちなみに、俺はそらるって名前でやってる
you
you
活動名……
you
you
……
you
you
ミライ、とか……
彼方
彼方
ちなみに、何でミライ?
you
you
私、本当なら死ぬはずだったでしょ?
you
you
でも、私にも生きる未来があったから
you
you
だから、ミライ
彼方
彼方
じゃあ、名前はそれで
彼方
彼方
とにかく、録音だけする?
you
you
う、うん……
彼方
彼方
じゃ、こっちおいで

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