部室の扉を急いで閉める
軽く深呼吸をしながら
これから向かい合わせになるであろう
山田涼介と会話をする覚悟を決め
振り返った
振り返るとそこには誰もおらず
人の気配さへしない
あれ、さっき彼はここに入っていった
はずなんだけど ……
少しだけ歩みを進めると
視界の下に何かが見え思わず立ち止まった
少しだけ下に目線を向けると
うずくまり座っていた彼が
少しだけ私を見ては顔を伏せ
謝罪の嵐
体制を変えると土下座ポーズに代わり
その光景にびっくりし過ぎて止めに入る
あれ ??
私の前で土下座をしながら
必死に何かを訴えているこのイケメンは
一体誰だ ??
同じくしゃがみこみ
何となくこの部活の趣旨に
合っているかどうか
彼の興味は本当にアニメなのか
聞いてみた
反応はこれだ
これはもう、私が知っている山田涼介では
ない
設定ってなんだ ?!
え、彼はクールで冷静で無口で
完璧な王子様じゃないのか ?!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。