ばっと両手を広げた五条があなたの前に立ち塞がる。あなたはその光景に戸惑い眉を下げている。
あなたは少し考えたあと語尾が疑問符になりながらもそう答えた。嫌なことを嫌だと言うことは大事である。
あなたの返答にショックを受けた五条はその場に崩れ落ちる。その光景を夏油と家入は腹を抱え笑い携帯を構え連写する。
今日もさしすは騒がしい。
自分の醜さを知っても変わらず接してくれるクラスメイトにあなたは嬉しくて勝手に頬が綻んでしまう。
そう言ってみせればショックすぎて灰になりそうだった五条は一瞬で輝きを取り戻す。
そう詰め寄る五条にあなたは家入らと一緒になって笑った。
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いつもの一日が終わり寮に戻ったあなたはニコニコと万円の笑みを浮かべる五条に囚われた。言質を取られたから仕方ない。どうやっても言い逃れもできないためあなたは意を決して両手を広げる五条に飛び込み背中に手を回す。
その瞬間ふわりと五条の香りがあなたを包む。その感覚に何だが頭がくらくらした。
五条はそう言ってあなたを強く抱きしめ返す。苦しくないように絶妙の力加減で。
そんな彼の優しさにあなたの心臓は煩いくらいに早鐘を打つ。
たまらなくなってそう呟けば五条がピシリと固まった。何事かと思い五条の胸元に沈めていた顔を上げるとそのまま唇を奪われた。急な出来事に理解が遅れるが顔に熱が集まるのを感じる。
唇を離してそう言葉を紡いだ彼はとても幸せそうに笑った。その笑顔が美しい彼の顔を一層際立てている。つられてあなたも微笑み目の前の愛おしい男の頬に手を添えるとそっと触れるだけのキスを落とした。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。