コンコン
男子寮、五条悟の部屋の前に立つ。
軽くノックをしてみるが返事はなかった。
今日あったことを話しておこうと思ったが、出来そうもないのであなたは自分の部屋に戻るべく五条の部屋から背を向け歩き出そうとした。
ガチャっと勢いよく開いたドアから五条が飛び出した。
そのまま五条はあなたをきつく抱きしめる。
いきなり抱きしめられたあなたは目を白黒させる。
とりあえず抱きついてきた最強の背中をぽんぽんと撫でる。
離してくれない五条を宥めながらあなたは今日あったことの報告を口にする。
抱きしめられたままだから顔は見られていないだろう。
今、私の顔はきっと酷いことになっている。
それでも五条はあなたを優しく抱きしめ続けた。
いつの間にか五条の部屋に入って、ドアは閉められていた。
五条にしては弱々しい声、その声に涙でぐちゃぐちゃになった顔を上げる。
嗚呼、貴方も私と同じなのね…
顔を上げるとそこには、あなたと同じく涙を流す最強がいた。
そう答えてあなたは最強の頬に口付けを落とす。
耳を赤く染めて涙目で覗き込んでくる五条にあなたは唇を奪われる。さびしんぼう、最強2人の喧嘩によく出てきていた単語を思い出しあながち嘘じゃないなと思った。
嬉しいけど寂しい、そんなヘンテコな夜を二人で過ごした。
大丈夫、きっと幸せな未来が待ってる。
to be continued.
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。