バイトしたいことをお父さんに伝えて、私は笑顔になった。
推しの為に頑張るんだ!缶バッジ買うんだ!!
それだけの為に、私はバイトをすることを決意したのだった。
……我ながらすごい気もする。これが推しの力。
そして翌日。
カフェはそれなりに混んでいて、相変わらず忙しい。
でもそれが楽しくてたまらない!
天使リースのお気に入りの曲を脳内再生しながら、注文されたパンケーキを作る。
このときの私はすごく満足げな顔をしていたと思う。
たくさん作っているうちにコツを掴んできて、前のときよりも上手くできるようになった。
料理が大好きな私にとって、嬉しいことこの上ない!
そんなことを思っていると、近くにいた店員さんに話しかけられた。
店員さんは、私がついさっき完成させたパンケーキを指差して言った。
そう返して、私は落とさないように慎重に、でもなるべく早くパンケーキを運んだ。
このパンケーキを注文したお客さんは割と近い席にいたので少し安心──ってあれ?
あの人、もしかして……!?
近づいて改めて確認すると、やっぱり学校の友達だった。
こんなところで会うなんて。
思い出したように店員モードになった私を見て、友達はぷっと吹き出した。
パンケーキをテーブルに置いたところで、友達は私に言った。
私がわたわたすると、友達はまた笑った。
……友達と推しについて語れたということは、リアコではなかった自分にちょっとだけ戻れたんだろう。
キッチンに戻るまでに一度だけ振り返ると、パンケーキを幸せそうに頬張る友達の顔が視界に入った。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。