第14話

気持ちの変化
90
2023/10/03 08:20 更新
お父さん
またバイトをしたいのか?
あなた
そうなの!
お父さん
おう、わかった!じゃあ明日、手伝ってくれ
あなた
はーい!
バイトしたいことをお父さんに伝えて、私は笑顔になった。

推しの為に頑張るんだ!缶バッジ買うんだ!!

それだけの為に、私はバイトをすることを決意したのだった。

……我ながらすごい気もする。これが推しの力。
そして翌日。

カフェはそれなりに混んでいて、相変わらず忙しい。
でもそれが楽しくてたまらない!

天使リースのお気に入りの曲を脳内再生しながら、注文されたパンケーキを作る。
あなた
(うんうん、上出来)
このときの私はすごく満足げな顔をしていたと思う。
たくさん作っているうちにコツを掴んできて、前のときよりも上手くできるようになった。
料理が大好きな私にとって、嬉しいことこの上ない!
店員
あの、あなたさん
そんなことを思っていると、近くにいた店員さんに話しかけられた。
あなた
ん?何ですか?
店員
お客さんのところにこれ運んでくれないかな?
人手が足りてなくて
店員さんは、私がついさっき完成させたパンケーキを指差して言った。
あなた
そうなんですか。わかりました!
そう返して、私は落とさないように慎重に、でもなるべく早くパンケーキを運んだ。

このパンケーキを注文したお客さんは割と近い席にいたので少し安心──ってあれ?

あの人、もしかして……!?









友達
えっあなた!?
あなた
えぇぇ!?私がここでバイトしてるの知ってたの!?
近づいて改めて確認すると、やっぱり学校の友達だった。

こんなところで会うなんて。
友達
ううん、偶然だよ。ここが評判いいって聞いて、気になって来てみただけ
あなた
そ、そうだったんだ
あなた
……………あっ、お待たせ致しましたっ、パンケーキです
思い出したように店員モードになった私を見て、友達はぷっと吹き出した。
友達
あははっ、ありがとうございまーす
パンケーキをテーブルに置いたところで、友達は私に言った。
友達
あ、ねぇねぇ天使リースがさ!新曲出すんだって!
あなた
えっ!?マジ!?
友達
マジマジ!今日の夕方に投稿されるらしい!
友達
……って、こんなとこで喋ってたら駄目か
あなた
わーっバイト中だった!
友達
ふふふ
私がわたわたすると、友達はまた笑った。
友達
じゃあ頑張ってね!
あなた
うん!
……友達と推しについて語れたということは、リアコではなかった自分にちょっとだけ戻れたんだろう。

キッチンに戻るまでに一度だけ振り返ると、パンケーキを幸せそうに頬張る友達の顔が視界に入った。

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