第10話

欲求
94
2023/08/24 12:30 更新
翌朝。私はスマホのメモ機能を使って、ライブレポを書いていた。


……え、昨日は何してたかって?

察しの通り、寝ました。


ライブはお昼からで夕方くらいに終わったのだが、帰ってきたらドッと疲れに襲われた。

だから夕食やお風呂をさっさと済ませ、いつもより早く寝てしまった。
あなた
今日が休みでよかったよ……
しかし、ライブの記憶が一晩で消えるはずもなく。

目が覚めて意識がはっきりしてくると、またライブを思い出して発狂しかけた(ギリギリ抑えた)。

そして同時にライブレポを書こうと思い立ち、今に至る。
あなた
(はーぁ……語彙力が欲しい)
あなた
(あの最高すぎたライブを表現できる言葉がなかなか見つからないよ……)
あなた
(悔しい……)
ライブの興奮ってどうやって表せばいいんだろう?

そう思いつつ、ライブ開始ときの気分の高揚やメンバーの面白かった話をまとめていく。

さっきネットを見たら、早くもライブレポを投稿している人がいた。
私も投稿するつもりだ。
あなた
あとは……
あなた
……ファンサ
あのときは本当に嬉しかった。


私を見てくれたって。

歌にして伝えてくれる『好き』。

これは本当だったんだって。

ファンひとりひとりを認識して、その個人にサインを送ったんだ。
あなた
……ファンひとりひとり、か……
ヒオルくんは私を見ているように、



他の人も見ている。



私だけを見ている訳じゃない。



ファンはたくさんいる。




私はその中の一部で、



ヒオルくんにとっては










ただの『ファン』。
あなた
(それでいいのかな)
あなた
(私がどれくらいヒオルくんを思ってるか)
あなた
(どれくらい応援してるか)
あなた
(知ってもらいたいけど、それはできない)
あなた
(だって私は個人として目立ってない)








あなた
………!
個人として目立ってないから駄目なのか?



なら、目立てばいいのだろうか。



どうすれば目立てる?



そう考えたとき、不意にねいるさんのことを思い出した。
病み垢で意味深なことを投稿して、ロリィタなワンピースで自撮りをしていた彼女。

………私も、やってみる?
あなた
(……そうすれば)
ヒオルくんに認識される?知ってもらえる?




今よりもっと、見てもらえる???

プリ小説オーディオドラマ