俺はじんたんが入院してから、
みやとふたりで毎日のようにお見舞いに行っていた。
そのたびじんたんは笑顔を向けてくれた。
でも、
じんたんが俺に向ける笑顔には
まだ警戒心があった。
じんたんがみやに向ける笑顔は本物だった。
前までは俺にも向けてくれた笑顔。
…………………なんで。
次の日、みやは来れなくてひとりでじんたんのもとへ行った。
やっぱり、
みやが居ないと不安だよな……
なにを話したらいいか、
なにを聞けばいいか、
わからない。
そしらじんたんが思いついたように喋った。
なんで、夢?
その時のじんたんの笑顔は、
本物だった。
素直に嬉しい。
じんたんが急に俯いて黙ってしまった。
…………どうしたんだろ?
みやかな………
じんたんを呼んでたのは。
だって、
まだ俺の事思い出してないのに夢に出るって
おかしいじゃん?
きっとじんたんはみやのことが好きなんだ。
あったかい気持ちとか
嬉しい気持ちとか
絶対恋じゃん?
そんで俺の事も思い出してない。
ああ、
じんたんのあったかい人になりたいな。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。