第1話
___m.h
〈 お前さ、本気で人好きになったことあんの?〉
いつも別れ際に吐き捨てられるこのセリフ
本気で好き?何それ。考えるだけで吐き気がする
元カレも、此奴も。
顔がいいから付き合った。ただそれだけ。
〈 _____お前最低だな 〉
どっちがだよ。
アンタだって私の顔が好きだっただけなくせに
“ 本気で好き ” ってやつじゃ無かったくせに_______
『 …ダサ 』
「 …は? 」
静かな教室。
夕日の光がカーテンを押しのけて此奴を照らす。
『 何も言い返せなかったんだ 』
「 …盗み聞きとか、趣味悪いんだね 」
『 うっわ~ そんな言い方ないでしょ。大体ここ俺の教室でもあるから 』
「 …っ、そっか。じゃ、」
『 ちょっと待って、 』
“ 俺の彼女になんない? ”
…は?
どういう流れで私がアンタの彼女になる訳?
『 顔が良ければ誰でもいいんでしょ? 』
「 アンタと付き合ってどんなメリットがあんの、 」
『 んー、女避け? 』
「 結局自分だけじゃん、最低 」
『 人の事言えんの? 』
ずいっ、と近づく顔。
後退りしてもすぐに背中に感じる壁。
“ ねえ、付き合ってよ ”
そう耳元で囁かれて重なる唇
とっくに陽の落ちた夜空に光る北斗七星さえ
私たちの姿を映さない_________