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第1話

プロローグ
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2025/11/27 13:46 更新
商店街の端っこ

古びた建物に剥げた回転式のアームチェア
オブラートに包めば趣を感じる室内で探偵寺西拓人は欠伸を1つ

「てら、欠伸してる暇があるんやったらビラのひとつでも配ってきてや」

助手篠塚大輝がんっとビラの束を寺西の目の前に差し出していた

「えー、それは助手の仕事でしょ」

寺西が嫌そうに手を退けると

「このビラだって俺が作ったんに」

「ってか、大輝ビラ作れるんだね」

「今どきなんとかなんねん」

「俺のは嫌がったくせに」

その一言に篠塚はぎゅっと眉を顰めると

「あんなパワポ初心者みたいなビラ配ったら余計依頼人減ってまう」

寺西の作ったビラはとにかくカラフルな文字が踊り
ピタゴラスイッチのような緑の背景
背景の透過されていない写真など
目が痛くなる仕上がりとなっていた

「えー、 今はああ言う虹色のが流行ってるんでしょ」

「何でもかんでも虹色にすればええ訳ちゃうで、おじいちゃん」

「まだ、お兄さんですぅ」

「はいはい、お兄さん、お兄さん」

「ちょっと、大輝片手間に流さないでよ」

そういわれた篠塚は至極面倒くさそうに答える

「大学の課題してんねん。邪魔せんといて」

「えぇー、ひどい。構ってよ」

唇をアヒルのようにした寺西が篠塚の背中に擦り寄る
うりうりと何度もつつけば、だるそうな顔をした篠塚が振り向く

「だぁ!もう!昨日の猫探しの報告書はできてるんか?!」

キレ気味の篠塚が少し声を大きくして聞けば

「できてまーす」

勝ち誇った顔の寺西がヒラヒラと報告書を掲げてみせる
この男仕事はしっかりできるのである
そのうえで篠塚にだる絡みをしている

篠塚がなんと返そうかイラッとした頭で考えていると


ピンポーン

部屋のチャイムがなる

依頼人だ

篠塚が慌てて扉を開けて中に案内する

その間に寺西は着ていたシャツの襟を正してアームチェアに座る
篠塚が依頼人にお茶を出せば
寺西探偵事務所の一日が始まる

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