○○side
今日は母に会う日だ。
会うと決めたものの色々考えてしまい不安と緊張で全然眠れなかった。
少し頭が痛くてダルいが今日を逃したらまた今度いつ会えるかわからない、今日しかないんだ。
〜△△公園〜
ここは昔よく父と母と3人で遊んでた公園だ。
とても懐かしい。またここで会える日が来るなんて思いもしなかった。母がここを指定したこともなんだか少し嬉しい。
私が着くと母らしき人物がいた。
え、お母さん...?
そこにいた母はまるで別人の様だった。
化粧も洋服も派手で昔の優しい面影は消えていた。
そう思っててくれたんだ!見捨てたわけじゃなかったんだ!
私はすっかり嬉しくなってしまった。
もしかして、また一緒に暮らせるってことなのかな?
なんだろ?
私はてっきりもう一度一緒に住んで欲しいとかそういう願いだと思っていた。
それがまさかのお金を貸してほしいって...
え、どういうこと?
そんな...、再婚なんて。私が邪魔なんて。
幸せを邪魔しないで、なんて。
今日会いに来たのはお金のためだったってこと?
母は70万を持って去って行った。
少しでも期待した自分が、母を信じた自分がバカだった。
私に会いに来たのはお金の為だったんだ...。
私に会いたかったんじゃなかったのか。
やっぱり人を信じない方がいい。
裏切られた時が辛いから。
もう私は誰も信じない。
ザァァー
〜電話〜
目黒side
電話越しの優の声は今にも消えそうだった。
しかも優が蓮くんって呼ぶ時は助けて欲しい時や弱っている時だ。優は無意識だろうが俺は知っている。
優は電話を切ると言ったけど今、手を差し伸べて上げないと優が壊れてしまう気がして俺はとっさに迎えに行くといい家を飛び出した。
△△公園に着くと優はベンチに座り傘もささずに遠くを見つめていた。
いつもの優とは違い、表情をなくしていた。
優は俺の名を呼び、謝り倒れてしまった。
優の体は熱く多分熱がある。
取り敢えず俺の家に運ぼう。
優はうなされて苦しそうに息をしていた。
どうしたんだ。何があった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!