4時間目が終わった。
「よっしゃごはんー!」
「ふふっ。あなたちゃん、いつもこの時は生き返るよね」
「そりゃあね!どんなに疲れてても半分夢の世界でもご飯は楽しみだよ」
「授業は起きてなきゃダメだよ」
いつも通り、はるちゃんと笑い合いながら教室へ帰る。
――その時。
「おい、赤城(あかぎ)」
低い声に苗字を呼ばれた。
そう――神谷だ。
「何?なんか用」
「購買でお茶買ってこい」
「……は?それぐらい自分で買え」
当たり前のように命令してくるこいつに神経おかしいんじゃないかと言いたくなったが、さすがに人目(というか女子の目)があるのでこう言った。
そうすれば、神谷はニヤッと口角を上げた。
「へぇ?いいのか俺にそんなこと言って。“あのこと”バラすぞ」
「!!」
顔から血の気が引いて急激に身体が冷えた。
「あのこと?」
「な、なんでもないよはるちゃん!」
首を傾げるはるちゃんに慌てて手を横に振り、神谷に向き直ってにっこりと笑いかける。
「お茶ね!何がいいとかある?」
「麦茶じゃなければ何でもいい」
「りょーかい!」
私はにこにこと笑いながら、心の中では机をバンバンと叩いていた。
――くっそ神谷ぁぁあ!!!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。