放課後になった。
業平くんとの約束通り、校舎裏へ向かう。
少し経って、業平くんが来た。
「来てくれてありがとう。待たせてごめんね」
「いやいや!私もさっき来たとこだから」
笑いながら顔の前で手を横に振ってみせる。
業平くんはホッとしたような顔をして、それから緊張した面持ちになった。
「……多分、もう分かってると思うけど」
そこで言葉を区切り、業平くんが私の目を真っ直ぐ見た。
「赤城さんが好きです。付き合ってください」
……やっぱ告白か。
うーん、業平くんのこと実はよく知らないんだよなぁ。いい人そうではあるんだけど。
それに……多分、私は。
「業平くん」
「?」
「……私も」
その時、言葉を遮るように背後から口を塞がれた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。