プリ小説

第11話

11話
私たちの足元に何かが飛び出してきた。

「チュー!」

ネズミ……!

猫の本能で、一瞬私の中に喜びが生まれる。反射的に捕まえそうになるのを、慌てて人間の理性で抑えた。

しかし、それで解決とはいかなかった。

「……!」

私は久しぶりに『あの感覚』を感じていた。

やばい。――猫耳が生えてしまった。

ここは下駄箱のすぐ近く、登校してきた生徒が必ず通る場所。運の悪いことに、三年生の教室がある廊下からも見えてしまう場所だった。

神谷も気付いたみたいだった。私に何かを言おうとする。

しかし僅かに早く、こちらに来る複数の気配。

神谷が舌打ちした。

「っ!?」

背中が勢いよく壁にぶつかる。驚く間もなく腕が私の頭に乗せられ、猫耳を覆い隠す。

そうしてくれたのは神谷だった。

「黙ってろ」

耳元で神谷が囁いてきた。

頬が熱を上げた。心臓の鼓動が全身に響いている。落ち着かないと猫耳を引っ込められないのに、全く冷静になれない。

か、隠すための壁ドンって分かってるけど……!距離近っ!!無理、無理だって!!

ドキドキしすぎてもう訳が分からなくなって、目尻に涙が滲んだ。

「赤城、大……」

神谷は一度言葉を止めた。理由が気になったが、固く閉じた目を開ける勇気は私になかった。目を合わせれば、もっとドキドキしてしまうことは脳が理解していた。

「……赤城。大丈夫になったら言ってくれ」

「っ、分かっ、た……」

くそっドキドキうるさい……!静まれ!静まれー!!

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